スポーツ

センバツ圧勝「大阪桐蔭強すぎ」で有望中学球児の“大阪離れ”懸念

準々決勝(17対0)、準決勝(13対4)に続いて3試合連続2ケタ得点で優勝した大阪桐蔭(時事通信フォト)

準々決勝(17対0)、準決勝(13対4)に続いて3試合連続2ケタ得点で優勝した大阪桐蔭(時事通信フォト)

 圧倒的な強さで4年ぶり4度目となるセンバツ甲子園制覇を成し遂げた大阪桐蔭。近江(滋賀)との決勝戦は16安打18得点で圧勝。この試合で4本の本塁打が飛び出し、1大会でのチーム本塁打数は最多記録を大幅に更新する11本となった。前評判の高かったチームがフタを空けても飛び抜けた強さをみせた恰好だが、“強すぎる”ことが、思わぬ波紋を広げそうだとの声も聞こえてくる。

 準々決勝(17対0)、準決勝(13対4)に続いて3試合連続2ケタ得点(4試合51得点)となった決勝戦を観戦した大阪のボーイズリーグの監督はこんなふうにため息をもらした。

「子供たちが(大阪)府内の高校に進みたくないと言うはずですわ」

 昨秋の大阪大会、近畿大会、神宮大会に続いてセンバツ優勝となり“無敗街道”を突き進む大阪桐蔭だが、野球熱の高い大阪にありながらも、決して大阪出身の選手が多いわけではない。スポーツ紙記者が言う。

「大阪桐蔭のベンチ入りメンバー18人のうち大阪府下出身の選手は4人。エースナンバーはじめ3人が岐阜県出身で、その他にも京都府、滋賀県、千葉県、福井県、石川県、愛知県、兵庫県、和歌山県、熊本県などの出身選手が並ぶ。大阪出身で1ケタの背番号をもらっているのは4番の丸山(一喜)君だけ。今年の新入生には東北出身者もいる。スカウト網は確実に全国へ広がっている」

 そうしたなか、前出のボーイズリーグの監督は球児の“大阪離れ”が加速することを懸念している。

「子供たちだけやなく、親の夢も甲子園出場です。もちろん、大阪桐蔭でレギュラーになれるような飛び抜けた実力があるなら別だが、そうでなければ“大阪桐蔭以外の大阪の高校”に進学したところで、同じ都道府県から2校以上選ばれる可能性がある春のセンバツはまだしも、夏の甲子園への道は非常に険しい。

 大阪の中学野球のレベルは全国でもトップクラスですから、地方の甲子園常連校に特待生として野球留学すれば、入学金や寮費などが免除されたうえレギュラーになれて、甲子園への近道となる。この春も、うちのチームの生徒のおよそ8割は四国や中国地方、あるいは東北の高校に進みましたわ」

 この監督によれば、有望な中学生が地方に野球留学したとしても、ボーイズのチームにとってはマイナスではない。逆にプラスだという。最終的に出身選手が甲子園に出場することで、選手は集まってくるからだ。ただ、苦労するのは他の大阪府下の高校の野球部だろう。大阪府下のある私学野球部監督はこう話す。

「これまでは有望な中学生が大阪府下の高校に分散するから、大阪府の予選でレベルの高い試合ができていた。ところが、近年は声を掛けても大阪桐蔭で野球ができないなら、と地方に野球留学してしまうケースが増えている。大阪桐蔭は全国規模で選手を集め、大阪の他の高校は野球留学ができないレベルの中学生たちが進学する。ますます選手層に差が出るわけです。大阪桐蔭の一強時代となり、勝てなくなった野球有名校では監督がどんどん交代させられている。それによってまた強化が難しくなるという悪循環ですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン