故・志賀廣太郎さんによる名物キャラ“パフェおやじ”
──12年という歳月を踏まえて、アレンジした部分はありますか?
キャラクターたちは変わっていませんが、時代性をどう反映させるかは意識しました。VRとかZOOMとかYouTuberといったキーワードをセリフに盛り込んでいます。あとは今ってファミレスは完全禁煙がスタンダードですよね。大禁煙時代をネタにしたエピソードを最初に入れました。それと12年間で、ファミレスの座席の背もたれがかなり高くなってしまった。
──言われてみればたしかに……!
昔は背もたれが低かったので、他のテーブルのお客さんをイジるネタが定番でしたけど、今の背もたれの高さじゃ半分立たないとそれは難しいんですよね。
──ほかのお客さんをイジるネタというと、名物キャラの“パフェおやじ”が真っ先に思い浮かびます。パフェおやじ役の志賀廣太郎さんは2020年に亡くなってしまいましたが、劇場版ではパフェおやじのエピソードもあると聞きました。
はい。皆さんの目にもパフェおやじが見えると思いますよ。『THE3名様』を復活させるにあたって、パフェおやじをどう出すかはすごく話し合いました。とにかくアイデアを出し合って、出し合って、みんなで書いた脚本になりました。
ウェイトレス役の安藤玉恵さんは当時、名古屋でドラマの撮影をしていたため、出演は難しい状況でした。でも「パフェおやじでこういうことをやりたいんだ」と伝えたら、「だったら東京に戻って参加します」と答えてくれました。
──パフェおやじはスピンオフが制作されたほどの人気キャラでした。
志賀さんがせっかくの美声の持ち主なのに、パフェおやじはほとんど喋らないキャラで……(笑)。変なダンスを踊らされたり、パフェの一気食いをやることになったり、顔に落書きされたり、かなりの無茶ぶりばかりでしたが、志賀さんは「楽しい」とおっしゃってくださいました。
──初の劇場公開ということで、『THE3名様』をスクリーン向けに変えた部分はありますか?
全然ありません。それをやっちゃうと、『THE3名様』らしくなくなるんじゃないかと考えました。僕なりにいつもと違う仕掛けをした部分はありますが、基本的には3人がファミレスでいつも通りだべる姿を大スクリーンで楽しんでください(笑)。
──舞台となるファミレスは、これまで通りビッグボーイなんでしょうか?
はい。ビッグボーイの広報担当の方も代替わりされているので、「実はこういう作品を過去に撮って、またやろうとしていて……」と最初に説明するのが大変でした(笑)。昔は千葉にある研修センターを撮影にお借りしていましたが、そこがもうないということで、なんと今回は実際の店舗を丸3日貸し切らせていただきました。