国際情報

武漢研究所の女性研究員が発表した新論文が話題 コロナ発生源は「証拠は得られてない」

話題となった「中国科学院武漢ウイルス研究所」の石正麗氏の今は?(写真/AFP=時事)

話題となった「中国科学院武漢ウイルス研究所」の石正麗氏の今は?(写真/AFP=時事)

 未曾有のパンデミックは、中国・武漢から始まった。新型コロナウイルスが流行し始めた2020年1月当初、ウイルスの発生起源とされたのが、「中国科学院武漢ウイルス研究所」。そのカギを握る人物として注目を浴びたのが、同研究所の研究員で“コウモリ女”の異名を持つ石正麗氏(57)だった。

 コウモリから発生するウイルス研究の第一人者の石氏は、武漢ウイルス研究所を代表して「コロナ起源説」を否定し続けてきた。しかし、2020年4月頃には「機密文書を持ち出して亡命した」との報道が駆け巡り、以降はメディア露出が激減した。

 動向の見えない彼女だが、現在もウイルス研究に心血を注いでいるという。元日本テレビ中国総局長で『インサイドレポート 中国コロナの真相』(新潮新書)の著書があるジャーナリスト・宮崎紀秀氏が語る。

「武漢ウイルス研究所のホームページ上に今でも石氏の名前と顔写真が出ているので、現在も在籍しているとみられます。

 今年4月には、石氏が共同執筆者の一人として執筆した論文が、『Zoonoses』というアイルランドの科学雑誌に掲載されました。その内容について中国メディアは『我々に啓示を与える』などと賞賛しています」

 タイトルは『ヒトの主要な感染症が動物に由来すること。過去の流行が次の流行を防ぐために何を教えてくれるのか?』。人も動物も感染する“人獣共通感染症”について書かれたもので、1940年代から現在までに発生した同感染症の特徴がまとめられている。

 また、論文内では新型コロナの発生源についても言及されていた。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が語る。

「この論文は、武漢の市場を『コロナの病原体が最初に報告された場所』と示し、売られていた野生動物の関与を指摘していますが、一方で具体的な発生源については『確かな証拠はまだ得られていない』と述べるにとどまっています」

 真相解明はまだ遠い。

※週刊ポスト2022年5月6・13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン