動物愛護団体の横のつながりを作りたい
山田:そして、お金もかかりますよね。フードやトリーツ、トイレシート、そしてワンコやニャンコが高齢になれば医療費だってかさんできます。それを坂上サンはすべて自腹でやろうとされている。頭が下がります。
坂上:はい。寄付は受け付けません。クラファン(クラウドファンディング)もやりません。それをやったり、それを頼りにしていたら続かないんですよ。寄付金が集まらなくなっちゃって頓挫した悲惨なケースをたくさん見てきているので、ぼくは100%、自腹です。もう決めました。
だから東京の家ももう必要ないので5月に更地にして売っ払っちゃいます。タオルとかフードとかを送ってくださるというかたも少なくないのですが、いまはお断りしています。
山田:近隣のかたが温かく迎えてくださっている証拠に、さっき私が玄関前でお目にかかったオジさまが「庭にキレイな猫が来たんだけど、ここんちの子じゃないか」って心配して訪ねてこられたんですよ。(スタッフで俳優の)古山憲太郎サン(46才)が対応してくださいました。そのニャンコは地域猫ちゃんだったようです。
坂上:そんなことが? でも、わざわざ確認に来てくださったのは、ありがたいですね。やはり地域の皆さんの理解は不可欠だと思っています。そこで1つやりたいことがあるんです。近所の小学校や中学校などで、ぼくらの活動を話させてもらって、たとえば「もしも家に余っているタオルがあったら、ちょうだい」と言えるような“つながり”は作っていきたいんです。
それから夏休みや冬休み、ウチで動物と触れ合ってもらって、いろいろなことを知ってほしいなって。これはもう『バイキング〜』に児童虐待のニュース解説などで出てくださっていた(元・児童心理司で心理専門家の)山脇由貴子さんにいろいろと相談させてもらっているところです。
こうした活動に関して、まだ「坂上忍」は利用価値があるとぼくは思っているんです。もちろん、それをぼく自身も利用させてもらって、動物愛護団体の横のつながりみたいなものも作っていきたいなぁと。だって、困っている動物たちに手を貸す人がこんなにもたくさんいて、団体もこんなにたくさんあるというのに、実はあんまり連携できていないじゃないですか。
それはもったいないので。ぼくは(動物愛護法の)法改正や啓蒙活動に尽力されているかたに感謝をしつつ、自分は現場の人間として動物と共に暮らそうと思うかたの選択肢の中に、犬種として「保護犬」が入るよう、確立されるよう、ここでやっていこうと決めました。
年齢のことも、そりゃあ考えますよ。でも自分が高齢になったらなったで、逆算して高齢のワンコやニャンコの“看取り”の活動ができるんですから。