「70才で貯金ゼロ」の上、生活保護も断られて…(イメージ)
高齢になった時、貯蓄も収入もなければ、生活保護を受給するという選択肢も出てくるだろう。だが、様々な事情で生活保護を断られた場合、どうやって暮らしていけばよいのか。貯金ゼロ状態で70才からパートで働き始めたという女性のリアルケースを見てみよう。
【家計簿】家賃や食費、通信費などの支出をまとめた岡田弓枝さんの家計簿
36年間、14才年上の経営者の愛人をしていたという異色の経歴を持つ岡田弓枝さん(仮名・80才)。毎月50万円以上のお小遣いをもらっていたものの、きれいに使い切り、貯金はゼロ。
「彼は私にマンションを買ってくれたうえ、20年前に亡くなったときは2000万円ほど残してくれました。でも、ひとりになった途端、不安になって、ネットワークビジネスにハマってしまいました。商品を売らなければならないのに、人脈もなく在庫を抱えて途方に暮れてしまいました。あまりのストレスから、祈祷師や波動の先生にすがったら、逆にお金をむしり取られ、2000万円も使い切ってしまいました」(岡田さん・以下同)
ほぼ無一文になり、生活保護の相談に行ったところ、
「あなたはまだ若いんだし、家もあるんだから働きなさい」
と言われ、70才から給食センターの調理員のパートを始めた。
「自分の背丈くらいの木べらを使い、夏の暑い調理場で野菜炒めを作ったり、冬の寒い日には底冷えする水場であじの内臓を取り続けたり……。老体にはつらかったのですが、センター長が親切なかたで未使用の食材を分けてくれるんです。とても助かっています」
パート仲間との仲もよく、10才ほど年下の女友達もできたという。みなそれぞれ、夫と離婚していたり、死別していたりで独り身が多く、「お互いに老老介護しようね」と言い合っているとか。
「若いシングルマザーの同僚もいて、彼女が夜の仕事に行くときは、お子さんを預かったり……。女同士で助け合っているからこそ、80才のいまも働けているんだと思います」
とはいえ、年齢的にきついので、勤務は週4日、1日3~4時間程度。体が動くうちは、心強い女友達と共に働き続けるつもりだと、朗らかに笑う。
【プロフィール】
パート・岡田弓枝さん(仮名・80才)/千葉県在住。高校卒業後、ゴルフ場でキャディとして働く。24才のときに建築会社経営者の愛人になり60才まで共に過ごす。生涯独身。収入は年金約7万円+パート代約6万円。
※女性セブン2022年5月12・19日号