もう見ることのできない熱湯風呂芸

もう見ることのできない熱湯風呂芸

 ダチョウ倶楽部は1985年に結成されてから、今年で37年を迎える。肥後と寺門にとって、上島さんは長い時間を共にしてきた、家族以上の存在だった。突然の死に2人が動揺し、悲しみに暮れたことは想像に難くない。

「普通だったら、仕事をこなせるような状況ではないはずです。でも、2人は仕事を休まなかった。きっと、『上島の分も頑張らなければ』という思いでいたのでしょう。カットの声がかかった後、モニターを覗きこんで真剣に演技をチェックする彼らのプロ根性に、思わず涙を浮かべている人もいました」(ドラマスタッフ)

上島さんが語った「やっぱり撮影は……」

 肥後は過去にインタビューで、ダチョウ倶楽部の流儀をこう語っている。

「求められたことを全力で」

 ダチョウ倶楽部は、どんなムチャな仕事にも、肥後の言うように「全力で」取り組んできた。1993年に流行語大賞で銀賞を受賞した「聞いてないよォ」は、『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』(日本テレビ系)で、体を張るなかで生まれたという。

「肥後さんが挑戦したのは、体長8mほどもある巨大なジンベエザメの口の中に入るという企画でした。スタッフは”ジンベエザメが食べるのはプランクトンだから危なくないですよ”と説明し、肥後さんも”それならやります”と。

しかし、想像以上にサメの噛む力が強かったうえ、肥後さんが背負っていた餌袋をくわえたままサメが海中深く潜り始めてしまったんです。命からがら海から上がり、とっさに口から出たのが『聞いてないよォ』という言葉。“本音”がウケて3人の持ちネタになったのです」(テレビ局関係者)

 そんなメンバーのなかでも、誠実な人柄とリアクション芸で欠かせないキャラクターとなった上島さんだが、もともとは役者志望だった。

「上島さんは文学座や野田秀樹さん(66才)の主宰する劇団などを受けたものの、不合格が続いたんです。仕方なくお笑いへとシフトチェンジし、俳優養成所で一緒だった寺門さんと一緒に、コント赤信号の渡辺正行さん(66才)が若手芸人を集めて行っていた企画に参加した。そこで雑用係をしていた肥後さんに出会い、ダチョウ倶楽部が結成されました」(お笑い関係者)

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