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「家が売れない…」不要な相続で負債を負う人は後を絶たず 相続放棄の泣き笑い

故人が残すのは「プラスの財産」ばかりでなく「マイナスの財産」も

故人が残すのは「プラスの財産」ばかりでなく「マイナスの財産」も

 相続トラブルはお金持ちだけの話、とりあえずもらっとくか──そう安易に思っていたら大間違い。相続のトラブルは突然、やってくる。そうなる前に、もらったがために大損した人たちの実話から学びたい。

「田舎でひとり暮らししていた母が亡くなり、遺産が家計の足しになると内心喜んでいたけれど、戸建てがまったく売れない……。固定資産税や火災保険料など維持費が増すばかりで解体にも費用がかかるし、相続なんてしなければよかったと悔やんでいます」

 都内在住の田中早紀さん(55才・仮名)が肩を落として、そうつぶやく。

 国税庁の統計によれば、2020年の課税対象被相続人数は約120万人で過去最高を記録した。高齢者が次々と旅立つ「多死社会」では、多くの人が相続に直面する。

 相続というと、骨肉の遺産争いなどの印象が強いが、田中さんのように、相続後に財産が重荷となって、頭を抱えるケースもある。

 一方、千葉県在住の佐々木文江さん(58才・仮名)は相続の危機を回避して、ホッと一息つく。

「亡くなった父が大きな借金を抱えていたんです。本来なら私が相続する立場でしたが、“ある手続き”で借金をチャラにしました。余計な遺産を相続しなくて本当によかった」(佐々木さん)

 親の死後に泣き笑いした田中さんと佐々木さんを分けたのが「相続放棄」だ。『身内が亡くなってからでは遅い「相続放棄」が分かる本』(ポプラ社)の著者で司法書士の椎葉基史さんが言う。

「故人が残すのは、お金や株など『プラスの財産』ばかりではなく、借金や未払金など『マイナスの財産』が含まれることがあります。そうした財産の相続人となったときは、“相続しない”という決断が大切です。すべての相続を放棄するための方法が『相続放棄』なのです」

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