遊説後に有権者と写真に納まる参政党の神谷宗幣事務局長。7月9日(時事通信フォト)

遊説後に有権者と写真に納まる参政党の神谷宗幣事務局長。7月9日(時事通信フォト)

 そこで知人らに政党について聞いてみると、興味関心があったという人は、どちらかといえばこれまで政治や選挙に無関心な人たちで、彼らが気になったのは「反ワクチン」「ノーマスク」「オーガニック」というキーワードだった。政治的に無色透明な人たちが参政党の支持者になるという現象は、ネットでも指摘されていたことだ。

 では、なぜ彼らは参政党を支持するようになったのか。1つは語りかける言葉や内容が時流に乗ったテーマで、わかりやすく、なじみがあり、親しみやすいということだろう。政治的リテラシーがなくても、とっつきやすいのだ。ホームページの政策に並ぶのはきずな、生きがい、安心、調和、アイデンティティに自らの幸福、重点政策にはSDGsという言葉。独自に運営しているというスクールの名称は政党DIYスクールだ。DIYという名前は、自分たちで手作りするという意味だろう。ここ数年、メディアなどで取り上げられることの多い言葉が並ぶため、明確に理解できなくても、何を言わんとしているのか、なんとなく理解できるのである。このなんとなくという感覚がポイントだ。

 食と健康、環境に関しては、その問題に対して有機農法、無農薬、食の安全などの意識の高い人たちが同調し、共感しやすいといえる。例えば、これまでの候補者や政党は、”生活に根差した政治を、政策を私が、政党が行います”と訴えることが主流だった。だが参政党のホームページや動画では、”あなたと同じような問題意識を持っているので、同じような生活感覚や生活意識に根差した政策を一緒に行いましょう”と訴えているように思える。それは一票によって政治を変えられるかもというより、自分がいいと思って実践していることをやろうとする政党を1票で後押しするという感覚であり、自分と共通点のある人に親近感を持つ「類似性の法則」から、応援したくなるのだろう。

 医療という面では、国のコロナ感染対策に関する疑問や不満の代弁者という感覚もある。ワクチンに関しては有効性や副反応など、まだまだわからないことも多いし、マスクの完全解禁がいつどのようになされるのか、政府の対応は未だにはっきりしていない。年金や消費税、経済政策はもちろん重要な問題ではあるが、日々、直面している問題は酷暑の中でのマスク着用なのだ。普段から気にかけ、意識し、不満や疑問に思うことが同じだからこそ、参政党に目が向くのである。そこには「注意バイアス」が働いている。

 これまでのところ、参政党の語り口は論理的というより、感情的に訴える面もあるが、それ以上に感覚や意識に語りかけ、働きかけているように思える。だからこそ政治的にまっさらな人たちの感覚に働きかけ、支持を増やしたのだろう。これからどのような政治活動を展開していくのか、参政党の動きに注目していきたい。

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