東京パラリンピックでの銀メダル
東京パラリンピックでの銀メダルは本当に嬉しかったです。実は、小学校の卒業文集に「パラリンピックで金メダル」と書いていて。その頃はまだ車いすバスケを始めたばかりで本格的にはやっていなかったし、手術直後だったので、完全に気持ちが切り替えられていたわけではないのですが、それを目標にやってきて、あれから13年。本当にパラリンピックに出場して、メダリストになれたことは誇りたいと思いました。12歳の当時の僕は「車いすになったら、かっこ悪い」としか思っていなかったし、障害があってできなくなったことはたくさんあったけれど、東京パラリンピックは、障害があったからこそ経験できたことだった。「障害者になってよかった」とは思わないけれど、今から車いすじゃない人生と、今の人生を選べるなら、間違いなく今の人生を選びます。
子どもたちに夢を与える存在に
僕が車いすスポーツを始めたきっかけとなった国枝選手のように、今度は僕が、障害を持つ子どもや、その親御さんなどに元気を与える存在になりたい。東京パラリンピックで銀メダルをとったことで遠い存在のように思われているかもしれないけれど、僕の人生の前半は、他の障害がある子どもと変わらないんです。エッセイでは、障害をどう乗り越えてきたか、どうかわしてきたかを綴っているので、同じ経験を持つ子どもたちやその親御さんに是非読んでもらい、何かのきっかけになれば嬉しいです。
【プロフィール】
古澤拓也(ふるさわ・たくや)/1996年5月8日生まれ、神奈川県横浜市出身。WOWOW所属。近著に『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』がある。