私が見たときは、食材を入れてレンチンするだけで焼き目がつけられる調理器と、独自水流で歯間と歯周の汚れを除去する“次世代のデンタルフロス”、家庭用ヘッドスパマシン、ジャンプ運動が家庭で気楽にできるクッション型エクササイズアイテムの4品だった。
ヒデと川島のプレゼンがスムーズなのは、既に彼らが自宅で愛用しているモノばかりだから。その模様を収めたプライベート画像が挟みこまれ、リアルな体験談が語られるたび、ゲストは前のめりで聞いている。
情報番組制作のプロが手掛ける
そして、ゲストも体験するという下りでは、アイドル時代、多くのバラエティ番組を経験した加藤や、「コメントが常に100点満点」と評判の藤本、そして、父・関根勤のトークセンスを引き継ぐ関根が正面から取り組む。特に、口元だけでなく衣装も濡れてしまいそうな「ウォーターピック」の体験ブロックは秀逸で、食べカスのアップこそなかったものの、3人それぞれの前に置かれた大きなボウルを覗き込んだ川島が顔芸と絶妙な言葉選びで“結果”を表現。笑いもあるのに、商品の魅力が視聴者にキッチリ伝わった様子は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の不定期企画「家電芸人」のような見事なものだった。
スタッフロールを見て納得したのだが、長年、情報番組やバラエティ番組に携わる制作会社の女性ディレクターが演出を担当し、同じく、女性プロデューサーが仕切っていた。両名とも『ノンストップ!』の立ち上げ時、坂本昌行の「One Dish」や、『収納王子コジマジック(「オーケイ」の小島弘章)の突撃!隣の収納』などを企画、制作し、局からの信頼が厚いことでも知られる。
そのプロデューサーに取材をすると、「ゲストの皆さんには事前アンケートで、色々うかがっています」とのこと。バラエティ番組では当たり前の手法だが、通販番組でもそれをやっているとは驚いた。彼女はヒデと川島の番組への取り組み方についても「あれだけやってくださる方々はそうはいらっしゃらないと思います。本当に自腹で購入して使ってくださっているので商品の特徴が全て頭に入っているし、商品への愛着も熱量もあるので、それがストレートに視聴者の皆さんにも伝わっているのだと思います」という。
現在、通販番組のレギュラーの有名タレントたちの多くは、「勉強になる」「やって良かった」と口を揃える。通販番組をどこか上から目線で見ていて「仕事がなくなってきたら出る番組」「手を挙げれば簡単に出られる番組」と、まだ勘違いしている芸能人や事務所があるとしたら、それこそ“お勉強”したほうがいいかもしれない。“売れる通販番組”は確実に進化しているのだから。
◆山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)などに出演中。CM各賞の審査員も務める。