ゆえに女優としても元気で明るい役を演じてきたイメージが強いが、映画では『勝手にふるえてろ』(2017年)、『万引き家族』(2018年)、『蜜蜂と遠雷』(2019年)『ひとよ』(同)、『劇場』(2020年)、『騙し絵の牙』(2021年)と、“カメレオン女優”と言っていい。
どんな松岡も輝いているし、魅力的だが、『初恋の悪魔』を見ていると、“こっち”の彼女の上手さが圧倒的であることがわかる。スカジャンとウェットなパーマヘアがトレードマーク。常にぶっきらぼうだが、実は本当の姿は別にある謎多き女性刑事役で、林遣都と仲野太賀、柄本佑と共に、“個性の大渋滞“を起こしている。
脚本は坂本裕二氏で、メインが4人というと、『カルテット』(TBS系)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ・フジテレビ系)といった名作とも重なるし、氏が、『Mother』『Woman』『anone』(すべて日本テレビ系)でタッグを組んだ演出の水田伸生氏が支えているとなれば、さらに“クセつよ”の松岡茉優が見られるハズである。
草なぎ剛も絶賛、伊藤沙莉の「声」「瞬発力」「集中力」
前述の『大豆田~』でナレーションを務めていたのが伊藤沙莉だ。その後も『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)、『アクターズ・ショート・フィルム2「あんた」』(WOWOW)、『あなたに聴かせたい歌があるんだ』(Hulu)、映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』、『ちょっと思い出しただけ』、『ざんねんないきもの事典』、他、吹き替えやPV、そして、累計本数(終了分含む)137本以上を含むCM出演により、「見ない日はない」、現在もっともノッている女優が伊藤である。
ドラマデビューは2003年の『14ヶ月~妻が子供に還っていく~』(読売テレビ・日本テレビ系)。筆者は前述の水田氏から、同作での彼女の素晴らしさを解説してもらったことがある。
見る人が見れば、当時から輝きを放っていたということ。その証拠として、2005年、『女王の教室』(日本テレビ系)で出会った天海祐希から言われた言葉を支えに女優人生を歩んできたと伊藤は何度も語っている。
「カメラが回っていないときでも、注目されるようなシーンじゃなくても、必ずあなたは気を抜かずにお芝居をしている。(中略)あなたが今のままでいてくれれば、誰かが見つけてくれるし、誰かが認めてくれるから、ずっとそのままでいて、変わらないでね」である。