国内

スマホ・タブレットの子供への影響 使用時間が長いと学力下がる傾向、国語より算数がより顕著か

子供の脳に体に異変が(写真/GettyImages)

子供の脳に体に異変が(写真/GettyImages)

 最近の子供は、昔に比べて運動が苦手になっていると言われている。そして、基礎的な運動能力の低下の背景にあるとされるのが、姿勢の悪さだ。日本医師会や日本整形外科学会は子供の3大不良姿勢として「猫背」「あご出し」「骨盤後傾」をあげる。これらの主な原因は、座りっぱなしの時間が長いことだ。

 一方、運動は苦手かもしれないいまの子供たちだが、ネットはお手のものだ。文科省は、2020年度末までで97.6%の自治体の公立小中学校で、パソコンやタブレットなどを1人1台配布しているほか、2024年度には、英語のデジタル教科書を導入する予定だ。だが、これらの機器を使いすぎると、子供の心身に深刻なダメージを与えかねない。

 まず、スマホやタブレットを長時間使用することは、前出の「3大不良姿勢」の原因になりやすい。そして、画面から発せられるブルーライトの刺激は、脳の視床下部を強く刺激することで、寝つきを悪くし、睡眠の質を下げることが明らかになっている。

 それ以上に恐ろしいのは、スマホやタブレットの使用そのものが脳を“壊す”可能性があることだ。東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太さんらの研究によると、スマホやタブレットの使用時間が長い子供ほど、脳の発達が遅いことがわかった。

「毎日スマホを長時間使用している子供は、3年間で、脳の神経細胞層である大脳皮質の発達がほぼ止まっていました。一方、スマホを使わない子供、または使用時間が少ない子供は、大脳皮質の体積が問題なく増加していたのです」(川島さん・以下同)

 さらに、毎日2時間以上勉強する子供がスマホを1日4時間以上使うようになると、まったく勉強しないが一切スマホを使わない子供よりも成績が落ちる。勉強する時間や睡眠時間とは関係なく、スマホやタブレットを使えば使うほど、学力は下がり、国語よりも数学の方がこの傾向が顕著に出ることがわかった。

「デジタル端末を使っているときは、大脳皮質のうち、特に思考力や記憶力、判断力を司る『前頭前野』がほとんど働きません。またある実験では、スマホやタブレットで検索した内容は、後から思い出すのが難しいこともわかりました。紙の辞書や辞典とは違い、デジタル機器で検索しても、その情報は脳の中にほとんど残らないのです」

※女性セブン2022年9月8日号

「肩こり・不眠・疲労感」を抱える小学生が激増

「肩こり・不眠・疲労感」を抱える小学生が激増

「1日4時間スマホを使う子」は成績が落ちる

「1日4時間スマホを使う子」は成績が落ちる

脳内が“ゴミ屋敷”になる

脳内が“ゴミ屋敷”になる

デジタル機器の使いすぎは、脳に深刻なダメージを与える

デジタル機器の使いすぎは、脳に深刻なダメージを与える

「理想の親子関係」チェックリスト

「理想の親子関係」チェックリスト

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン