朝食メニューは日替わりだが、毎日必ず食べているのが、スパイスをまぶしたプレーンヨーグルト。
「スパイスはシナモン、ターメリック、コリアンダーを1対1対1で混ぜたもの。スパイスには血管年齢を下げて心肥大を予防する作用があるんです。実は、血糖値を測定した頃より少し前に、同級生がクリニックを開業したので、お祝いがてら心臓ドックを受けたら、心肥大だと診断されてしまって……。
血糖値や血圧はある程度なら放置しても問題ないのですが、心臓の壁が厚くなって、心室が狭くなりポンプ機能が低下する心肥大は命を落とす可能性がある。対策を取るためにいろいろ調べてみると、スパイスをたっぷり摂っているインド人は心疾患が少なく血管年齢が若いことがわかったので、毎日食べる朝食メニューに取り入れることにしました」
昼食は好きなものを好きなだけ、好きなように食べる。
「よく食べるのは好物のラーメンにチャーシュー丼。たんぱく質を摂るために卵のトッピングは欠かしません」
夜は外食するか、買ってきて自宅で食べる中食だ。
「週3回は外食で、あとの4日はデパ地下のお総菜やコロナ禍で増えたテイクアウト。外食でも中食でも晩酌は欠かさない主義で、毎日ワインを飲みます。量は1日ボトル半分。赤が空いたら次は白、と交互で飲み、それに合わせて肉と魚を2日おきで交互に食べています」
ワインと肉を欠かさないのは、大好物だという理由だけではない。
「肉に含まれるコレステロールは循環器内科の医師からは目の敵にされますが、実は免疫機能を高め、意欲や筋力のもとになる男性ホルモンを増やす作用がある。要は肉を食べると元気になるわけで、日野原重明さん(享年105)や瀬戸内寂聴さん(享年99)など最後まで健康だった長寿者には肉好きが多い。
ただし肉ばかり食べていれば栄養バランスが偏るため、魚と交互に摂るのがいい。実際、世界各国のさまざまな調査で、赤ワインをよく飲むフランス、ポルトガル、スペインと、肉と魚をバランスよく食べる日本、韓国の人は虚血性心疾患が少ないことが明らかになっています」
肉にラーメン、ワインをボトルに半分。毎日これだけの食事を続けていればカロリーオーバーによる不調も懸念されるが、和田さんはそれを真っ向から否定する。
「ぼくの専門は高齢者の健康です。日々、たくさんの患者を診療していて感じるのは、やっぱり“食べていない人は元気がない”ということ。栄養が余ることで生じる害よりも、栄養が足りないことで起きる害の方がはるかに大きい。
多くの医師は血圧やコレステロール値、血糖値などを下げる重要性を説きますが、それよりも、とにかく食べて栄養を摂ることの方が大事。人間もしょせんは動物。エネルギーが足りなければ動かない。案外、単純にできているんですよ」
特に、検査の数値にこだわりすぎるのは根本的な間違いだと続ける。