ライフ

歯周病治療の大きな落とし穴 痛くない検査が“見逃しの温床”となっている

歯周病治療の落とし穴は?(イメージ)

歯周病治療の落とし穴は?(イメージ)

 正しい歯科治療・口腔ケアを学ぶことが重要なのは、歯科業界の一部に“間違った治療・ケア”が蔓延しているからでもある。どんな落とし穴があるのか、『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏が歯周病治療の「間違った認識」をレポートする。

 * * *

【間違い】自覚症状が出たら、まず歯周病用のハミガキで治す?

“歯肉の腫れ、出血があったら、○○○でケア”というテレビCMが流れている。その影響で歯周病の自覚症状が出たら、まずドラッグストアで歯周病専用の高価なハミガキ(ペースト)を買って、自分で治そうとする人がいる。しかし、これは大きな間違いだ。

 歯周病は、歯周ポケット内のプラーク(バイオフィルム)や歯石が主な原因だが、セルフケアでは除去できない。歯周病専用のハミガキを使用すると一時的に腫れが引くが、根本的な治療ではない。早期に治療すれば完治できるのに“自己流の治療”で、歯周病を進行させてしまうケースが後を絶たないと、複数の歯科衛生士が証言している。

【間違い】検査は痛くないほうがいい?

 歯周病診断の基本であるプロービング検査は、歯周ポケットにプローブ(針のような器具)を入れて深さを測定する。この時、適正な圧力をかけないと正しい診断はできないのだ。

 プロービング検査の適正な圧力は、20~25g。これは「チクッ」とした軽い痛みを感じる程度の強さだ。歯周病が進行していると、プロービング検査の痛みを過剰に感じることも多い。

 そのため、この検査で歯周病が悪化すると誤解して、クレームをつけたり、通院しなくなる患者もいるので、プロービング検査は“患者が痛がらない程度の強さ”にとどめる歯科医院もある。

 ただし、それでは正確な診断ができないので、歯周病の進行を見逃してしまうことになる。最悪の場合は歯を失うこともあるので、“何も感じないプロービング検査”には注意したい。

【間違い】毎日の口腔ケアは自己流でOK?

 いつまでも歯周病が治らない患者は、口腔ケアが自己流で間違っている可能性がある。日本は“歯磨き”一辺倒で、今もデンタルフロスや歯間ブラシを正しく使えない人が多いからだ。

 ただし、診療時間が限られているので、歯科医院としては十分に指導できていない現実もある。

 よくある間違いは“デンタルフロスは歯間に通すもの”という考え方。歯周病の原因となるプラークは、歯の表面に付着している。だからフロスは歯間を通すというよりも、歯の側面にぴったり沿わせて、歯肉まで軽く入れるのが基本。つまり、28本ある歯の両側面すべてにフロスを沿わせる必要があるのだ。

 正しい口腔ケアを歯科衛生士に習ってほしい。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン