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ビジュアル系版ファーストテイク『一撃』にファン興奮 「V系は歌が下手」の偏見払拭へ

『一撃』がビジュアル系シーンに新たな風を吹き込む(公式サイトより)

『一撃』がビジュアル系シーンに新たな風を吹き込む(公式サイトより)

「一発撮りで、音楽と向き合う。」をコンセプトに、メジャーシーンで活躍する国内外のミュージシャンの“一発撮り”を収録したパフォーマンス動画『THE FIRST TAKE』(ザ・ファーストテイク)──。失敗が許されない状況下での緊張感と、繊細な息遣いまでを拾う音質で多くの視聴者を魅了しているYouTubeの人気コンテンツとなっている。

 そんなファーストテイクのビジュアル系(V系)版とでもいうべき動画が『一撃』だ。10月9日に、日比谷野外音楽堂で単独公演を行うビジュアル系バンド「キズ」が、結成4周年企画として2021年にスタートさせたこの試みは、ボーカル・来夢が毎回ゲストのボーカリストを迎え、キズの楽曲をセッションするというもの。

 この企画について、ビジュアル系バンドのファンの間では、「ビジュアル系の衰退を食い止める“一撃”になりそう」「実力派ボーカルがたくさんいることを世間に発信できる」と話題を呼んでいる。

歌手としての実力の再評価へ

 2021年に公開された『一撃』の「-1st season-」「-2nd season-」では、逹瑯(MUCC)、一聖(BugLug)、幸樹(ダウト)、団長(NoGoD)、ガラ(メリー)、暁(アルルカン)、DAISHI(Psycho le Cemu)、冠徹弥(THE冠)ら、計12名とのコラボを実現。現在は「3rd season-」が進行中で、田澤孝介、苑(摩天楼オペラ)、隼人(DuelJewel)、HAZUKI(lynch.)らがゲストとして登場している。

 興味深いのは、団長、冠徹弥、苑といった、いわゆるビジュアル系の枠にとどまらない、圧巻のハイトーンボイスを誇るヘヴィメタルバンドのボーカリストを招いていることだ。

 ビジュアル系バンドといえば、X JAPANやLUNA SEAなどのレジェンドバンドを輩出してきた一方で、1990年代には“お化粧バンド”と揶揄されることもあり、2000年代以降も「見た目ばかりで演奏力は低い」「歌が下手」といった偏見を持たれていた時代がある。2010年代以降になると、アイドル文化やK-POPが隆盛し、ビジュアル系シーン自体の注目度が下がっていた。

 そんな中、『一撃』は“ビジュアル系”と括られるシーンのボーカリストが、いかに多種多様で、かつ実力を備えているのかを世間に知らしめるコンテンツとして、注目を集めているようだ。過去にビジュアル系バンドのライブに足繁く通っていたというエステサロン勤務の女性・Aさん(30代)は、次のように話す。

「YouTubeのおすすめ動画で『一撃』が出てきて、久しぶりにビジュアル系に触れました。過去に自分が大好きだったバンドのボーカルばかりで、なんだか嬉しくなっちゃって。色々と再生しながら彼らの歌声を聴いていたら、2000年代よりも歌唱力も上がっていてビックリしましたね。

 私自身の反省なのですが、昔はライブで暴れてヘドバン(※ヘッドバンギング)できれば満足で、あまり歌声に耳を傾けていなかったのかもしれません(笑)。あらためて聴いてみたら、みんな個性的で魅力的なボーカリストばかり。ビジュアル系と一言で言っても、本当に“一人一党”というか、それぞれのバンドごとに全く違う個性を持っているんです。このコンテンツを通じて、彼らの歌手としての実力も再評価される気がしますね」(Aさん)

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