コラム

低金利のうちに検討したい住宅ローンの借り換え! 注意点は?

(写真/PIXTA)

住宅金融支援機構が、2021年度中に借り換えをした998人に調査をした「住宅ローン借換えの実態調査結果」を公表した。住宅ローンは超低金利が長く続いているが、こうしたなか、どういった借り換えが行われていたのだろう?今回は、住宅ローンの借り換えについて考えてみたい。

【今週の住活トピック】
「2021年度 住宅ローン借換えの実態調査結果」を公表/住宅金融支援機構

借り換えによって全期間固定型が減少し、変動型が増加

住宅ローンの借り換えとは、現在返済している住宅ローンの残金を一括返済して、別の住宅ローンを契約すること。返済しているローンの金利よりも、借り換え後の金利が下がれば、借り換えることで利息を削減することができる。

住宅ローンの金利タイプには、半年ごとに金利が見直される「変動型」、返済当初一定期間の金利を固定する「固定期間選択型」、返済中金利が変わらない「全期間固定型」がある。固定期間選択型は、当初固定期間を2年、3年、5年、10年などから選ぶもの。全期間固定型は、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携ローン【フラット35】が代表的なものだ。

今回の調査結果によると、借り換えの前と後では、利用する金利タイプのシェアが、次のように変化していた。
〇借り換え前→借り換え後
変動型 40.4%→49.2%(+8.8)
固定期間選択型 45.4%→43.9%(-1.5)
全期間固定型 14.2%→6.9%(-7.3)

変動型が増えて、全期間固定型が減っているのが大きな特徴だ。ということは、全期間固定型を借りていた人が、借り換えで変動型に移ったということだろうか? 詳しい内訳を見ると、次のようになっていた。

低金利時代には、金利を固定する期間が長いほど金利は高く設定される。したがって、借り換えで低金利なローンを狙うなら、全期間固定型から金利が変動するものに、固定期間選択型の長いものからより短いものへといった借り換えが行われるのがセオリーだ。

調査結果を見ると、借り換え前後で同じ金利タイプを選んだ人が多いが、借り入れ当時と比べて金利水準が下がっていれば、同じ金利タイプへの借り換えでも低金利のローンを利用できるからだろう。しかし、なかにはセオリー通りではない借り換えをしている人もいる。変動型から固定期間選択型や全期間固定型など、より金利を固定する期間が長いもの選んだ事例だ。

借り換え理由はなんといっても「低金利」だが、金利上昇を不安視する人も

では、借り換えの理由を見ていこう。
当然ながら、「金利が低くなるから」と「返済額が少なくなるから」という理由が圧倒的に多い。適用される金利が低くなれば、残りの返済期間が同じでも返済額を少なくできる。収入の減少や物価の上昇に伴い、毎月の返済額を抑えることが最大の理由という場合もあるだろう。

一方、「今後の金利上昇・返済額増加への不安」を挙げた人も多い。金利上昇のリスクを避けたい場合は、全期間固定型を選ぶか、固定期間選択型のなかでも固定する期間が10年など長いものを選ぶのがセオリー。低金利のうちに、長期間金利を固定できるからだ。

ほかの理由については、ローンの優遇金利の仕組みを説明したほうがわかりやすいだろう。
固定期間選択型の場合、当初の固定期間で大幅に金利を引き下げ、以降は優遇幅が小さくなる「当初優遇タイプ」とずっと一定の金利を引き下げる「通期優遇タイプ」の2種類がある。前者の場合、借り入れ当初の金利は低いが、固定期間終了後の金利が当初と同じだとしても優遇幅が小さくなることで、適用される金利は上がってしまう。

同様に、全期間固定型の場合でも、性能の高い住宅であれば当初一定期間金利を引き下げる【フラット35】Sを利用した場合も、金利引き下げ期間が終わると優遇がなくなることで、適用される金利が上がる。

こうした事情から、ローンの適用金利が上昇するタイミングで借り換えたいとか、優遇幅を通期で適用させたいから借り換えたいといった理由が挙がるわけだ。

また、固定期間選択型の場合、固定期間終了後は再度固定期間を選ぶ場合もあるが、変動型に移行する場合もある。「変動金利に移行するのが不安」というのは、こうした事情だろう。

なお、今回の結果は2021年度に借り換えた人の調査なので、市場の金利上昇圧力が強まっている今後であれば、金利上昇リスクを避ける借り換えをする人がもっと増えるのかもしれない。

住宅ローンの借り換えで注意したい点とは?

住宅ローンの借り換えでは、新しい住宅ローンに切り替えることで、低金利などの条件がよいローンを借りることができる。ただし注意したいのは、完済するローンと新たに借りるローンについて、それぞれ手数料などの諸費用がかかることだ。

たとえ数十万円の諸費用を払っても、借り換えによる利息削減効果のほうが大きい、というのが前提だ。借り換え前後の金利差が小さかったり、ローンの残高が少なかったり、残っている返済期間が短かったりする場合、利息削減額よりも諸費用のほうが上回ってしまう可能性もある。諸費用と利息削減効果を必ず試算して、総合的に判断する必要がある。

また、借り換えは新規に借りる場合と同様に、融資審査を受けることになる。世帯収入が減っていたり転職したばかりであったり、あるいは健康面に不安があり団体信用生命保険(以下、団信)に加入できないといった場合には、借り換えができないこともある。

こうした注意点はあるものの、いまはすべての金利タイプで低金利であることに加え、金融機関の優遇金利がかなり低くなっている。借り換えで優遇金利が適用されることで、借り換え前後の金利差が大きくなるという人が多いだろう。

また、借り換えによって、希望の金利タイプを選べたり、団信にオプションを付けたりなどの見直しができるといったメリットもある。住宅ローンのメンテナンスの一環として、低金利のいまのうちに借り換えを検討するのもよいだろう。

●関連サイト
住宅金融支援機構「2021年度 住宅ローン借換えの実態調査結果」

(山本 久美子)

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