デジタルオーディオの幕開けとなったコンパクトディスクプレーヤー「CDP-101」。定価16万8千円。世界初のCDプレーヤー[ソニー提供](時事通信フォト)

デジタルオーディオの幕開けとなったコンパクトディスクプレーヤー「CDP-101」。16万8千円。世界初のCDプレーヤー[ソニー提供](時事通信フォト)

「某アイドルグループとか、まったくいらないCDもありますね。物によっては買い取り拒否です。握手券に価値があるわけですから、食玩で言えばCDがガムで、握手券がお目当ての玩具というわけです」

 食玩とは食品玩具のことで、いわゆるグリコのキャラメルとかカバヤのビッグワンガムのような、お菓子に小さなおもちゃやプラモデルがついてくる類いの商品だ。一概には言えないかもしれないが、あのガムを目当てにビッグワンガムを買う子どもは少なかったろう。それと同じということか。

「そういうことです。そもそも円盤を欲しがる一般人は減りつつある。いても一部のマニアです。ユーチューブやサブスクもあるわけですから」

レーザーディスクのようになったら悲惨

 ライト層にすれば動画配信サービスの充実した昨今、いちいち出し入れの面倒で高価な円盤を買う必要がない。コロナ禍以前まではまだ「あの作品はDVDでなければ」「あの曲はCDでなければ」という作品もあったが、コロナ禍の需要の変化は一気に消費行動を変えた。サブスクもコンテンツを増やし、むしろ未CD化、未DVD化の作品はサブスクのほうが揃っていたりする。家庭のインターネット環境も充実した現在となっては、いちいちCDデッキやDVDデッキに円盤を入れたり入れ替えたりの面倒な作業をするライトユーザーは少なくなっているのだろう。

「それにDVDやCDの専用再生機そのものが減ってきてるんですよ。うちでも中古で取り扱ってますが、マニアにはひと昔前の中級機とかよく売れます」

 これもある意味マニアの話かもしれないが、かつての主流だった、いわゆる3万円から5万円程度のDVDデッキ、CDデッキが姿を消し始めている。CDプレーヤーはピュアオーディオ関連でまだ多少の需要はあるが、DVDプレーヤーに至っては国内大手メーカーの新品でも1万円前後が多くを占めている。

「ゲーム機でもノートパソコンでも再生できるわけですから、そもそも専用機を買う人なんて少ないでしょう。あと、その専用機も昔に比べてちゃんと作ってませんよね。とくにDVDプレーヤーは筐体もプラモデルみたいにペラペラでトレイも貧弱、日本の大手メーカーすらそんなものしか作らない時代です」

 メーカーも売れないものにコストはかけられない。大半の安価なDVDプレーヤーは高齢者向けになっていて、リモコンのボタンも日本語表記も大きかったりする。もう若者は買わない前提ということだ。

「そもそもノートパソコンで再生できるってさっき言いましたけど、最近のノートパソコンは光学ドライブついてないですからね。そのノートパソコンすら、タブレットやスマホで済む層には敬遠されているのに、ゲーム機だってこれからどうなるか」

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