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忍び寄る「円形脱毛症」 その原因は自己免疫細胞による攻撃だった

自己免疫疾患の一つ「円形脱毛症」(イラスト/いかわやすとし)

自己免疫疾患の一つ「円形脱毛症」(イラスト/いかわやすとし)

 頭髪の一部が丸く抜ける円形脱毛症はバセドー病や潰瘍性大腸炎と同様に、自己免疫疾患の一つだ。男性ホルモンが原因の男性型脱毛症とは違って自分の免疫がメラニンを作る元気な毛包を攻撃して炎症が起こり、脱毛に繋がる。ストレスが直接の原因ではなく、細菌・ウイルス感染、過労などがきっかけで発症する。また新型コロナ感染後に発症した例も多い。

 毛髪の成長にはサイクルがある。頭髪全体の毛根の9割が成長しており、通常は約6年間伸び続ける。残り1割は約2か月で、新しい毛髪が生えるのと同時に抜け落ちる。

 男性ホルモンが関係する男性型脱毛症(AGA)は頭頂部や額の生え際など男性ホルモン受容体のある箇所だけが影響を受け、髪の成長サイクルが短くなり、休む細胞が増えだす。そのため毛髪が細く、伸びにくくなり薄毛が進む。

 一方、円形脱毛症は成長している元気な毛髪細胞(毛包)が自分の免疫細胞に攻撃され、炎症を起こして脱毛する。こうした自己免疫疾患は攻撃を受ける臓器によって、甲状腺ならばバセドー病、大腸では潰瘍性大腸炎、関節はリウマチになる。円形脱毛症の8?9割は40代までに発症する。

 浜松医科大学附属病院皮膚科脱毛専門外来の伊藤泰介病院教授に聞いた。

「円形脱毛症の一部の患者さんに、他の自己免疫疾患との合併がみられます。例えばアトピー性皮膚炎や潰瘍性大腸炎を併発したり、尋常性白斑の合併もあります」

 頭髪は毛包にあるチロシンという物質が、チロシナーゼという酵素によってメラニンに変換され、丈夫な毛髪が生える。ところが、免疫が暴走し、毛包を攻撃するとチロシナーゼの働きが抑制されてメラニンの産生ができなくなる。この結果、毛根が炎症し、白髪や脱毛が起こる。

 実は尋常性白斑も皮膚にあるメラニンを産生するチロシナーゼ酵素の働きが免疫細胞で阻害されることにより、攻撃を受けた場所の皮膚が白く抜けたようになる病気だ。

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