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W杯初戦の夜、渋谷スポーツバー店主が語った“迷い”と“奮起”「コロナ協力金もらうのは本意じゃない。自力でやっていきたい」

渋谷スポーツバーの店主・田中守さん

渋谷スポーツバーの店主・田中守さん

 新型コロナウイルスが世界に蔓延してから初の開催となるサッカー・ワールドカップのカタール大会。マスクなしのスポーツ観戦が広がるなど、世界では感染対策緩和の傾向が見られるが、日本ではまだまだ警戒心が緩んでいない。日本代表が劇的勝利を飾った初戦の日、渋谷のスポーツバー「Fields」店長の田中守さんは、率直な喜びと、苦しい胸の内とを語った。

 11月23日午後10時。日本代表がドイツ代表を相手に初戦を迎えたこの日、完全予約制となった店には、120人のサポーターが詰めかけていた。店内はぎゅうぎゅう詰めで、新しく導入した100インチのスクリーンに声援を送るサポーターたちの熱気が外にも溢れ出ていた。

「それでも、コロナ前に比べれば半分くらいだと思う。だいぶ感染は落ち着いてきたと思ったら、最近はまた増えてきているし、このような時にお客様を入れてもいいのか、いろいろ迷いました」(田中守氏、以下同)

 試合はPKで先制点を許して折り返し。後半もなかなかボールを奪うことのできない苦しい時間が続いた。

「ああ、このままいってしまうのかな、と。でも、後半は南野(拓実)が入り、浅野(拓磨)が入りといった中で、完全に流れが変わった。まさか逆転するとは思わなかったです」

 逆転すると、店内は興奮のるつぼと化した。まもなく表示されたアディショナルタイムは7分。ドイツの猛攻が続き、何度も日本ゴールが脅かされるなか、サポーターたちのボルテージはますます上がっていく。「時間!時間!」と試合終了を心待ちにするサポーターたちにとって、7分は長すぎる時間だった。

 そして、ついにホイッスルが鳴った。後半の終盤に2点を獲っての逆転勝利。この日一番の大歓声があがる一方、いち早くスクランブル交差点に向かうためか、試合終了早々に人混みをかき分けながら店外に飛び出すサポーターもいた。

「今日の盛り上がりを見て、ワクワクしちゃって。実は、いったんコロナが落ち着いた頃に店を改装したんです。これまで協力金や補助金などで何とか店をやってきましたけど、そんなのは本意じゃない。やっぱり自力で店をやっていきたいという気持ちに変わりはありません」

 試合前やハーフタイムには自らマイクをとって店内を盛り上げた田中さん。「劇的な逆転勝利を収めたサムライブルーに感謝の気持ちを捧げ、この日を起爆剤にまた明日からがんばっていきたい」と熱く語った。

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