芸能

稲垣吾郎、フラットな受け手に徹することのできる彼あってこその作品で知る「傷ついても得られる人生の豊かさ」

妻について「ある悩み」を持つフリーライターを演じる稲垣。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

妻について「ある悩み」を持つフリーライターを演じる稲垣。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

 稲垣吾郎(48才)が今泉力哉監督と初タッグを組んだ映画『窓辺にて』が好評だ。公開御礼・全国生中継つき舞台挨拶も実施され(11月17日)、稲垣、出演者の一人である中村ゆり、今泉監督が登壇。

稲垣自身、こっそり映画館に足を運んで、この作品を鑑賞したという。

稲垣自身、こっそり映画館に足を運んで、この作品を鑑賞したという。

 稲垣が映画内の自身について、「演じてないんじゃないかな」と思うほど、また周囲からも「演じてないんじゃないの?」と言われるほど、自分に近い役だった、と語った。

 それほど、彼を中心に、どこかにありそうで、たぶんどこにもない、そんな豊穣な人間ドラマが綴られている作品である。

「演じてないんじゃないかな」と思うほど自分に近い役だった、と稲垣。

「演じてないんじゃないかな」と思うほど自分に近い役だった、と稲垣。

 本作は、『愛がなんだ』(2019年)や『街の上で』(2021年)などの代表作を持つ今泉監督のオリジナル最新作。来年は有村架純主演の『ちひろさん』の公開も控えている、いまもっとも新作が期待される今泉監督と、朝ドラへの出演をはじめ、映画や舞台での主演が続くなどアクティブな俳優活動を展開する稲垣との幸福な初タッグとなった。ウィットに富んだ会話の応酬や軽妙洒脱な展開の連続に魅了される作品だ。

舞台挨拶で、今泉監督、稲垣、中村ゆり(11月17日)。

舞台挨拶で、今泉監督、稲垣、中村ゆり(11月17日)。

 あらすじはこうだ。かつて『STANDARDS』という小説を世に出し、現在はフリーライターとして活動している市川茂巳(稲垣)。彼はある日、とある文学賞の授賞式で高校生作家の久保留亜と出会う。彼女の書いた小説『ラ・フランス』に惹かれた茂巳は、主人公のモデルとなった人物に会わせてもらうことに。その一方で茂巳は、ある問題を抱えていた。編集者である妻の紗衣が、彼女の担当する人気小説家と浮気していることを知っていながらもそのことを言い出せない日々を過ごしているのだ。しかも彼は、妻の浮気を知ったときの自分の感情についても悩んでいる。そんな茂巳の元にさまざまな者たちが現れては、人縁関係が複雑に絡み合っていくーー。

稲垣演じる茂巳は、妻が浮気していることに気づきつつも、何も感じない自分にショックを受けていた。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

稲垣演じる茂巳は、妻が浮気していることに気づきつつも、何も感じない自分にショックを受けていた。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

 若手からベテランまでのユニークな俳優陣がチャーミングなキャラクターたちに扮し、独特な世界観を構築している本作。茂巳とともに穏やかな時間を過ごす妻・紗衣(中村ゆり)は荒川円(佐々木詩音)と不倫関係にあり、この二人の関係が茂巳にとって“ある種”の悩みのタネとして存在する。

 そんな彼の前に現れるのが、どこかミステリアスな雰囲気を持った高校生作家の久保留亜(玉城ティナ)。彼女のあけすけで大人びた言動が、茂巳の日常にゆるやかな変化をもたらす。

 久保の「ラ・フランス」の主人公のモデルとなった何人かの人物の一人である恋人の優二(倉悠貴)は不良じみた見た目をしているが純粋な青年で、もう一人のモデルである久保の伯父・カワナベ(斉藤陽一郎)は俗世間をでの生活を捨てて山小屋で暮らしている。茂巳を慕う友人のマサ(若葉竜也)とその妻・ゆきの(志田未来)もそれぞれに問題を抱えており、少なからず彼に影響を与える存在だ。

ちょっぴり可笑しい大人のラブストーリーだ。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

ちょっぴり可笑しい大人のラブストーリーだ。(c)2022「窓辺にて」製作委員会

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
イエローキャブの筆頭格として活躍したかとうれいこ
【生放送中に寝たことも】かとうれいこが語るイエローキャブ時代 忙しすぎて「移動の車で寝ていた」
NEWSポストセブン
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン