伊藤氏が会社を去った後、菊地氏らの羽振りが急激によくなった。巨額資金が集まりだすと、菊地氏は東京・歌舞伎町の高級キャバクラで数千万円の豪遊を重ねたり、数億円はすると言われる虎ノ門の高級マンションをキャッシュで購入するなど、散財を始めた。菊地氏だけでなく、ナンバー2の関戸直生人氏も、月収2億円超の給料明細を世間に公表したり、営業幹部が6000万円の高級車を買ったことをテレビで自慢したりしていた。
ただ、エクシア設立時からこのような派手好きだったわけではなく、伊藤氏は、「会ったばかりの頃の菊地氏は、会食と言っても居酒屋で食事をして、2軒目にキャバクラに流れるようなことはなかった。お金が彼を変えたのかもしれない」と嘆く。
「エクシアは詐欺とまでは言い切れない」
エクシアは2019年12月期、シンガポール法人からの貸付金利息として24億円の売り上げを計上した。利息の原資は運用利益とされ、大半を菊地氏の役員報酬などの販売費及び一般管理費として費消している。
だが、シンガポール法人がブラックボックスであるならば、現金を動かすだけでいくらでも利益を偽装することが可能である。現に多くの投資家から相談を受けている弁護士は「運用実態が見えないエクシアは、集めたカネを出資者に配当するポンジスキームを疑わざるを得ない状況だ」と語る。
投資詐欺に詳しい加藤博太郎弁護士は「エクシアは詐欺とまでは言い切れないが、全体を見れば悪質な投資スキームです」と指摘する。
「投資用の資金を集めると謳って、投資業の資格を有していない合同会社の社員権を買わせるスキームそのものが、脱法的な資金調達行為。株式会社であれば、投資家は出資額に比例して発言権などを得ることができますが、個人会社に使われることが多い合同会社では、制度上、定款であらゆる権利を代表社員に限定させてしまえば、社員権を持っていても何もできない。さらに集めた資金を子会社に転貸することで運用実態を分からなくさせている以上、“お金がなくなっちゃったんですよ”と言われれば投資家は何もできない」(加藤弁護士)
実際、エクシアはホームページで「当会社への出資は合同会社の社員権への出資となります。出資金の元本の返還は保証されていません。出資金を毀損するリスクがあります」と掲載しており、運用実態が不透明なままなら、投資家は菊地氏の言い分を受け入れるしかない。