問われる「米国製兵器」のコストパフォーマンス(写真/時事通信フォト)
離島防衛の際に自衛隊員を輸送する手段などとして購入・配備された垂直離着陸機オスプレイ(V-22)も、同様に調達価格が高騰した。
米国務省がオスプレイの日本への販売を承認した2015年当時、米海兵隊向けの同機価格は1機あたり約7200万ドル(約86億円)だったが、日本が購入した17機分の総額は約30億ドル(約3600億円)、1機あたりでは約211億円だった。総額30億ドルにはエンジンなどの予備パーツ代が含まれるため一概には比較できないが、販売価格には開発費用などが上乗せされており、割高な買い物には違いない。
さらに、オスプレイはその機体特性から操縦が難しいとされ、事故が多発。トラブルも多く、今年8月には米空軍が相次ぐ動力装置の不具合を理由に飛行を一時停止した。自衛隊での運用でも同様の不安は拭えない。こんなケースもある。
「安倍政権が2014年に導入を決め、今年3月に1番機が到着した無人偵察機グローバルホークは、当初3機で約510億円だった価格が約630億円に上昇。しかも日本が購入した『ブロック30型』は旧式化が指摘され、米空軍は保有する同型機20機全機を退役させる方針です。防衛省幹部も『高価格なのに性能はイマイチ』と不満を漏らしています」(半田氏)
調達中に製造中止
陸上自衛隊では、2002年から調達を開始した戦闘ヘリAH-64D(アパッチ・ロングボウ)がその後数年で製造中止となり、調達は終了した。
陸自は当初、旧式化が進む主力攻撃ヘリAH-1S(コブラ)の後継に同機の調達を計画したが、1機60億円以上と高額なこともあり、調達が難航。そうする間にライセンス元の米ボーイング社が同機の製造中止を決定したため部品調達が困難になり、62機の調達予定が13機で終了。陸自の部隊編成計画に大きな支障を来たす結果となった。