さらに球界関係者から驚きの声が上がったというのが、楽天・田中将大(34)の落選だ。楽天を取材するスポーツ紙記者が語る。
「最終候補のメンバーにも残っていたマー君は契約更改後の席でも『チームの駒として、どこでもやる気持ちでいる』と侍ジャパンへの熱い思いを吐露していた。メジャーから帰国したこの2シーズンはまだ本領を発揮できていないとはいえ、普段は慎重なコメントをするマー君がこんな強気の発言をしたのだから、『選ばれる見込みや話がマー君自身に入っているのだろう』と記者たちも思っていた。
しかし蓋を開けたら選外だった。大谷ら参加意思を示した選手が軒並み選ばれるなか、マー君だけが参戦表明したのに落選という赤っ恥をかかされた形になった」
その裏で一体何があったのか──。
12球団から「最低1人」
WBCの選手選考は、実力主義ではあるが、一方で各球団への“配慮”も存在するという。元阪神球団社長の野崎勝義氏が語る。
「メンバーを選ぶのは代表チームの監督ですが、それにあたって事前に有力選手について各球団へ打診があり、本人の意思を確認しながら回答することになります。
辞退ばかりになると『自分の球団だけペナントレースに備えるのか』と白い目で見られることになるため、12球団は基本的に協力体制にあるし、代表の監督もそれをわかっている。各球団のメンツとペナントレースへの影響に差が出ないようにする配慮が働いて、12球団からバランスよく選ばれていることが多い」
別のスポーツ紙デスクもこう語る。
「今回日本ハムからは唯一、伊藤大海(25)が選ばれているが、その一方で2021、2022年と2年連続最多勝を獲得した実績のある阪神・青柳晃洋(29)が落選した。青柳の救援での適性を不安視した部分はあるかもしれないが、阪神からは中野拓夢(26)と湯浅京己(23)が選ばれているため、“青柳ではなく伊藤が選ばれたのでは”と見る向きがある。
楽天については最終メンバー候補にマー君と松井裕樹(27)、浅村栄斗(32)が残っていましたが、内野も先発も盤石な布陣だったため、救援での能力を考えると通算197セーブをマークしている松井の優先度が高くなったのではないか。参加を熱望していたマー君を精神的支柱として選ぶ考えもあったと聞いているので、栗山監督にとってマー君切りは苦渋の決断だったのでしょう」