4度の全日本バレーボール高等学校選手権大会(以下、春高バレー)出場を誇る福岡県の西日本短期大学附属高等学校(以下・西短)の女子バレーボール部で起きた指導者の暴言、モラハラ問題。『NEWSポストセブン』の取材で、女子バレー部を約40年間率いてきた同校の監督(60代)とOGの女性コーチ(30代)がそれらの不適切指導を保護者らから問題視され、昨年9月末に辞職していたことは前編で報じた通り。【前後編の後編。前編から読む】
厳しい練習を終えて寮に戻っても、理不尽な“悪しき伝統”が部員たちを追い詰めていた。バレー部関係者が打ち明ける。
「練習中に監督やコーチから集中砲火を浴びた部員とは誰も会話してはいけない、というのが暗黙の了解でした。ターゲットは日によって変わり、寮に戻ると全員から無視されます。部員たちも指導者に従うしかなかった。コーチに告げ口する子もいて、報復を恐れて無視されている子を助けることができず、部員たちの心は孤立していきました」
例年、猛暑による熱中症対策が求められているが、寮でのエアコン使用時間も3時間と制限され、深夜の「食トレ」にも部員たちは怯えていたという。
「寝るときの3時間だけつけることが許されていましたが、真夏で35℃を超える猛暑日でも夜中にエアコンが切れて、暑さで起きた部員は下着姿で窓を開けて、そのままベランダで寝ている子もいたようです。また、遠征先や寮で消灯後に寝ていると、指導者の宴会が終わったあとに痩せている部員3~4人が起こされ、残った食事を摂らされるのです。
寮で監督や関係者が酒盛りする時の食トレはもちろんのこと、ジョッキやお酒、おつまみの準備をホステスのように手伝わされ、担当の部員は監督たちの飲み会が終わるまで寝られず、呼び出されては飲み会の手伝いをさせられていました」(同前)
2022年9月4日、子供を預けていた保護者らの不信感と怒りは頂点に達し、学校で緊急保護者会が開かれた。監督とコーチが出席し、学校側は事務長、校長、副理事長が同席。約50人の保護者が参加した緊急保護者会は2時間に及んだ。取材班はこの時の緊急保護者会の動画を入手。そこでは持論を展開する監督と他人事のような態度のコーチに涙する母親や激怒する父親らの姿があった。