「年収1000万円」の「源泉徴収票」を見せられた
そんなAさんの心配をよそに、平林さんは石川容疑者からもらう金銭は膨らんでいったという。
「平林さんはお小遣いを受けとるうちに、段々と新宿で派手に散財するようになりました。それに伴って石川容疑者からもらうお小遣いの金額が上がっていきました。一度に100万円を超す金額を受け取っていたこともあり、それで彼が供述している総額1000万円以上になっていたのだと思います。ただ、金額が上がっていくなかで一方的にお小遣いとして渡す関係ではなくなっていきました。
石川容疑者は逮捕当時、平林さんのマイナンバーカードを所持していたと報道されていますが、おそらく平林さんの所持品のほうには石川容疑者のマイナンバーカードがあるはずです。これは平林さんから聞きましたが、あまりに石川容疑者からお金をもらうようになっていくなかで石川容疑者が用意した借用書にサインするように言われたそうなんです。その際に“証明”としてお互いのマイナンバーカードを交換したからです」(Aさん)
Aさんは昨年の11月頃、石川容疑者が平林さんに傾倒していく様を心配して、平林さんに「そんなに彼からお金を受けとって、大丈夫なの?」と聞いたことがあったという。
「平林さんは石川容疑者からLINEで源泉徴収票の写しを見せてもらったらしく、私も平林さんからその写しをみせてもらいました。石川容疑者の年収は1000万円ほどでした。もちろん貯金もあったでしょうけど、とはいえ短期間に1000万円は渡しすぎでしょう。実際にはかなり追い込まれていたと思います」(Aさん)
このように2人の交際を見守っていたAさんは事件発覚以降、いまもフラッシュバックに苦しんでいるという。
「私が彼らと交流していたのは去年春頃から年末までですが、その間は週に1回は会うかLINEでのやりとりがありましたから、彼らの記憶は鮮明に残っています。だからこそ、事件があってからは毎晩彼らのことを思い出します。平林さんが石川容疑者に刺されるシーンが脳裏に浮かび、石川容疑者が2つのナイフを持っていたという報道から、もしかして心中するつもりだったのではないかと想像してしまい、寝つけなくなるのです」(Aさん)
非常に近くで2人の関係を見守ってきたAさん。しかし、「犯行に及んだ石川容疑者の胸中はわからない」という。石川容疑者が身勝手な犯行に及んだ背景には2人にしかわからない関係性の変化や問題があったのかもしれない。事件の真相解明が待たれる。
◆取材・文/河合桃子(ライター)