“妻”たちを従えて自宅付近を散歩する渋谷容疑者(『週刊ポスト』2006年2月10日号より)
この奇妙な生活は、2003年頃からスタートしたとみられている。博仁容疑者は、結婚と離婚を繰り返し、妻と元妻全員に渋谷姓を名乗らせ、自宅の土地と建物の権利を均等に贈与。一緒に逮捕された千秋容疑者とも、わずか11日間だが結婚歴があるとされる。博仁容疑者が「一夫多妻男」として最初に話題になったのは、いまから17年前の2006年のことだった。
「2006年1月、博仁容疑者は当時20才の女子学生に対する脅迫などの容疑で逮捕され、懲役1年6か月、執行猶予4年の有罪判決を受けました。今回の手口と同様に、女性に対して、“ここを出れば肉をそがれてミンチにされる”などと脅し、集団生活に加わるように迫りました」(前出・全国紙社会部記者)
この事件時、自宅からは大量の催眠術関連本などが押収され、被害者の証言などから、博仁容疑者が“ハーレム”を築いた手口が明らかになった。
「博仁容疑者は占い師と称して助手を募集する求人広告を出し、応募してきた女性を次々と同居生活に誘っていた。面接と偽って真っ暗な部屋に招き入れ、強烈なスポットライトを目に当てて“霊が取りついている”などと脅していたようです。この手口は催眠術の初歩的な手法とされており、状況次第では、“洗脳状態”に持ち込むことも可能だといわれています」(捜査関係者)
当時、メディアの取材に応じた妻らは、「(博仁容疑者と)一緒にいたいからいるだけ」「ここにいると落ち着く」と口を揃えていた。今回の2度目の事件で、20年にも及ぶ異様な男女の生活が明らかになったわけだが、そのなかに一度は生活を共にしたものの「逃げた女性」が1人だけいる。
「ほかの同居女性が次々に博仁容疑者と結婚していった2003年、結婚直前で自宅を出たそうです。彼女もほかの女性と同様に贈与を受けましたが、その3週間後に返還。共同生活を始めたタイミングで違和感を覚え、勇気をもって逃げ出したと聞いています」(前出・全国紙社会部記者)