芸能

『どうする家康』、「あほたあけ」は流行語になるか?時代劇研究家の注目ポイント

松山ケンイチ

松山ケンイチ演じる本多正信も「あほたあけ」と

 松本潤主演で話題を呼んでいるNHK大河ドラマ『どうする家康』。この中で頻出となっているセリフがある。「あほたあけ」だ。ツイッターでも話題になっているこの言葉は流行語になるのか? 「三河生まれで尾張育ち」でもある時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 服部半蔵(山田孝之)が嫌々(?)率いる忍び集団、服部党が出て、いよいよ怪しさが増してきた大河ドラマ「どうする家康」。80年代大人気だった千葉真一の「影の軍団」ファンの私としてはうれしい限りだが、その前に気になってきたことがある。

 そこここで聞こえる言葉「あほたあけ」である。ひょっとしてこれは流行語になるのか? 先日放送された第6話「続・瀬名奪還作戦」。

 第5話では、今川方に人質同様になっている愛妻・瀬名(有村架純)と子どもたちを奪い返すため、本多正信(松山ケンイチ)の提案によって服部党の忍びたちに潜入作戦を実行させた家康だったが、あと一歩のところで失敗。正信は次の策として、生き残りの服部党を上ノ郷城に忍び込みこませ、今川の重臣・鵜殿長輝(野間口徹)と息子たちを生け捕りにする作戦を考える。

 しかし、生き残った服部党の顔ぶれが子どもや女(松本まりか)までいると知った正信は、「あほたあけ」とまず一発。その後も「あほたあけ」はこの回だけで計5回、予告編にも1回出てきて、すっかりおなじみの言葉になってきている。

 三河生まれで尾張育ちの筆者からすると、「おバカ」といった意味の「たあけ」はとても耳なじみのある言葉だ。私の周囲にも「たあけたことを言やあすな(バカげたことを言うな)」などと言う目上の人がたくさんいた。「たあけ」は、もともとは「たわけ」で、高校時代は、友人同士、ふざけて「たわし!!」と言い合ったものだ。当時、聞かされていた「たわけ」の語源は、「田分け」で、先祖伝来の田をうまく分けないのは愚か者がすることだといった意味だったと思う。昔の感覚でいえば、田は長男に全部継がせるもので、やたら田を分けるのは愚かだという意味だったのかもしれないが、のんきに「たわし」と言っていた高校生は当然、深く考えたこともなかった。

 ただ、「田分け」は俗説だったらしく、「たわけ」には、「戯け」という漢字があり、「おどける」「ふざける」「愚か者」「バカ者」という意味があると知ったのは、後年のことだ。そして、今回このコラムを書くにあたって、「広辞苑」にて「たわけ」に「みだらな通婚」という意味があり、それが古事記にも記載されているとわかり、驚いてしまった。言葉は深い。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン