JR西日本が鳥取県と組んで始めた日本初の商業用マサバ陸上養殖場(岩美町)

JR西日本が鳥取県と組んで始めた日本初の商業用マサバ陸上養殖場(岩美町)

新しい名産品で地域を活性化、雇用創出したいとプロデュース

●JR西日本イノベーションズ マサバ「お嬢サバ」

 ユネスコ世界ジオパークに認定されている山陰海岸の一角に、JR西日本が鳥取県と組んで始めた日本初の商業用マサバ陸上養殖場(岩美町)がある。

 井戸で地下10メートルから海水を汲み上げる「かけ流し式」で育てるのは“鳥取生まれの箱入り娘”と冠した「お嬢サバ」。砂や砂利などで自然濾過された地下海水を使って陸上の水槽で育て、人工餌を与えるため、寄生虫がつきにくく、サバなのにアニサキスの心配もなく生で食べられるのが特長だ。

 運営するタシマボーリングの田島大介代表は「15℃の地下海水が常に注がれ、脂のりも抜群。妻と娘も毎日、掃除と餌やりをして一家で大切に育てています」と話す。JR西日本イノベーションズ(大阪市)が展開する陸上養殖ブランド「PROFISH」は現在9魚種。お嬢サバの名付け親でもある石川裕章プロデューサーは「観光資源としても活用していきたい」と語る。

出荷の際は「お嬢サバ」を傷つけないように、水ごとすくう水タモ網を使って丁寧に扱う。飼育に抗生物質、薬品は一切使用しない

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網代漁港に飼育用9基、出荷用4基の水槽が並ぶ。環境負荷の軽減のため太陽光発電パネルを設置。自然エネルギーを使って育てる

網代漁港に飼育用9基、出荷用4基の水槽が並ぶ。環境負荷の軽減のため太陽光発電パネルを設置。自然エネルギーを使って育てる

自然濾過されたクリーンな地下海水をくみ上げる井戸小屋は8か所ある。点検する田島代表は建設前のボーリング調査から携わっている

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「お嬢サバ」の出荷サイズは250グラム以上、脂質20パーセント以上と厳格に決められている。このサイズに育つまで約1年かかる

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鳥取市賀露町の「味覚のお宿 山田屋」で味わえる「お嬢サバの姿造り」(要予約)

鳥取市賀露町の「味覚のお宿 山田屋」で味わえる「お嬢サバの姿造り」(要予約)

各地で展開される「PROFISH プレミアムオーガニックフィッシュ」

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取材・文/上田千春

※週刊ポスト2023年3月3日号

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