信者間で養子縁組が繰り返されていた旧統一教会(世界平和統一家庭連合)。厚生労働省はこれに関する刑事告発を検討しているが、いまだ事態は進展していない。元2世信者である小川さゆりさんは「子どもの人権が守られていない」と訴え、3人の妹が養子に出されていた実態を近日刊行の手記『小川さゆり、宗教2世』(小社刊)で明かした。【第5回。第1回から読む】
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2番目の妹との再会
養子縁組された妹たちの消息は、私にはほとんどわかっていません。ひとりは200キロ離れた場所、もうひとりは800キロも離れた家族のもとで暮らしていると聞きました。
2番目の妹には一度だけ会ったことがあります。それは私が20歳のときのことでした。彼女が暮らす県に、私が車の免許を合宿で取りに行くことになりました。両親が「それなら妹がいるから会ったほうがいい」と言うので、妹とその養父母とファミリーレストランで会いました。
彼女は中学生になっていて、養父さんに「もー、違うよ」と年頃の女の子らしく照れて笑うその姿から、普段から親子仲のいいことがよく伝わってきました。
ちょっとシャイで控えめだけど、優しくて素直な感じのする女の子で、ひとりっ子として大切に愛されて育ったんだろうな、と私は思いました。
統一教会を脱会した私がメディアに出て、2世信者の問題を社会に訴えかけているのを見て、彼女はどんな思いを抱いているだろう、と最近は思っています。
両親と仲が良いと話していた彼女は、統一教会の熱心な信者になっていて、いまの私を見て複雑な思いを抱えているのかもしれません。私は脱会した後、統一教会の信者ではない夫と結婚し、昨年4月に男の子を出産しました。
わが子が生まれた瞬間、こんなにかわいいんだなと泣きました。脱会について悩み遺書を書いたこともありましたが、生きてきてよかったと思いました。目がぱんぱんに腫れた、生まれたときの子どもの顔がいまも忘れられません。私が子どもを産んだとき、看護師さんからこう教えてもらいました。
「こちらが赤ちゃんのことを愛してるように見えるんですけど、でも実は赤ちゃんが無条件でお母さんを愛してるんですよ」