“数字”にとらわれてきた反省・半生

今年ソロ活動5周年を迎える「AAA」のメンバー・宇野実彩子

今年ソロ活動5周年を迎える「AAA」のメンバー・宇野実彩子

 このきっかけはファンとのつながりが絶たれたコロナ禍にもある。

「コロナ禍でファンの皆さんと直接お会いできない中、手探りのようにオンラインファンクラブなどで接していくうち、ファンの方々が『この歌のこの言葉の語尾の歌い方が好き』とか『あの歌のあの表情が好き』という、私がこだわっている細かなこと、それ以上に皆さんが私を見てくださっていることに気付かされたんです。私と同じかそれ以上の熱量で私に向き合ってくれている」

 これまでは大所帯ということもあり、どこかざっくりとしているのではないかという疑問が浮かんだ。

「アーティスト活動を続けていくと、例えばファンの人数が多くないといけない、チケットが売れないといけない、歌がたくさん再生されないといけないなど、実はすごく“数字”にとらわれてしまうんですよね。“数字”って非常に露骨なので。だからいつしか目の前の数字を取りにいってしまっていたんです。もちろん数字は無視できないけれど、目先の意識より本当につながることを一番大切にする活動を追いかけるほうが、私は私らしくアーティストとして続けていけるのではないか」

 これは彼女の人生観をも変えた。そして自身の人生でもがいている今、それが逆に人生と向き合っている感覚を体感できるようになった。結果、日々の達成感や満足感が増していく。今はプロジェクトを続けられるかどうかは自分次第。そこに多くのスタッフが関われば関わるほど自分の責任も増えていく。表向きだけの感謝ではすまない。もっと人に興味を持たなければいけない。

 SNSでもリプライやリアクションが来ると「いいね」を精力的につけるようになったという。そうすると、もちろん心無いコメントも目に入る。だが一方で「応援コメントが何百倍も私を勇気づけてくれる。そしてまた『いいね、ありがとうございます』とリプが来るとつながれていることを実感して、うれしくなる。ただ、いまだ意地悪なコメントでダメージを受けますけどね。そのダメージ量は今も変わらない。ただそれを“消化”できる力は向上したかも」と舌を出す。

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