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「レギュラーがゼロに」近藤サトさんが告白する「完全フリーアナの壁」と意図しなかった「グレイヘアで再ブレイク」

近藤サト氏

近藤サトさんが「完全フリーアナの壁」について語る

 1990年代のフジテレビ黄金期を支えた人気アナの一人が、近藤サト(54)だ。『FNNスーパータイム』を始めとする報道番組のほか、『笑っていいとも!』、『学校ではおしえてくれないこと!!』などジャンルを問わず多数の番組に出演し、局を代表する看板アナとなった。現在はフリーアナとしてナレーションを中心に活躍するほか、意外なジャンルにも進出する近藤アナに、退社のきっかけと第二の人生を聞いた。

 * * *
 もともと私は将来のことを長期スパンで考えてはいませんでした。フジテレビを退社した1998年当時、局を辞めた女性アナウンサーは、フリーの肩書でそれまでと同じような仕事をするのが一般的でした。私も数年は他局のバラエティやナレーション、イベントの司会など、それまでやっていたことと同じ仕事をしていました。

 ただ、2004~2005年頃に大きな苦境がやってきたんです。ちょうど子供ができたタイミングでした。私は事務所に所属しない「完全フリー」の個人事業主だったので、妊娠を機にレギュラー番組の仕事がパタリとなくなってしまったんです。大手事務所に入っていれば妊娠・出産期間だけ誰かに替わりを務めてもらえたのかもしれませんが、私の場合はそれができなかった。妊娠・出産のためキャリアが途絶えてしまうという経験を、図らずもしてしまったんです。

 子育てもある中、これからどうするかを考えた時に、今までと同じアナウンサーという枠組みではなく、もっとひとつに特化したほうがいいだろうと思って。そこで、ナレーターに的を絞ると決めました。これが転機のタイミングでしたね。子供が小学校に上がる2010年くらいからナレーションに絞った仕事を始めています。

 局のアナウンサーは専門職として採用されますが、アナウンサーの技術はとくに資格が必要なわけではありません。男性アナウンサーの場合は実況があって、これはより専門的な技術力が問われますが、女性の場合はニュース、バラエティ、ドキュメンタリーと、広く浅くどんな番組にも対応できるオールラウンダーであることを求められる。不思議な専門職なんです。

 しかし、いざ退社後に飛び込んだフリーランスの世界は、本当の専門職が群雄割拠していて、太刀打ちできるものではなかった。女優として女優がいるし、バラエティ番組にはタレントがいるし、ドキュメント番組にはナレーターがいる。外に出るとそれぞれの専門職が多数待ち構えています。多くの方はそれまでに培ったタレント性で下駄を履かせてもらって色々な仕事をもらえますが、年数が経つと「あの人誰?」という状況になるんです。

 私は手に職をつけるべく、ナレーターとして今の事務所に入りました。顔も出さなくていいし、声だけのプロでやっていければいい。細々とした過去のネームバリューで顔を出す仕事のオファーもあるんですが、まだそこまでの自信はないので、そういう場合は喜んで出ます。俳優やタレント活動はこちらからは営業をかけないで、オファーがあった時だけやっています。

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