ハラスメント行為は、歌舞伎界という特殊な世界で、興行にまつわって起きた。その興行のほとんどに携わり、各々の歌舞伎役者と業務委託契約を結ぶ松竹にも、責任の一端はあるはずだ。調査、指導をすべきではないのか。松竹に見解を求めた。
「(猿之助のハラスメントについては)プライベートの動向については、俳優と弊社は雇用関係に無いこともあり、弊社が関与・管理することには限界がございます。ご指摘の事象は承知しておりません。
(コロナ禍のパーティーについては)市川猿之助が休演に至りましたことは遺憾でございますが、現状では、弊社から市川猿之助に対し、申し入れをすべきと判断する確たる事実は把握しておりません。
(今後の対応については)ハラスメント行為は決して許されないものであり、俳優の私行においても社会規範や倫理を逸脱する行為は厳に慎むべきと考えております。公演製作・主催企業としての社会的責任の見地から、弊社の興行等に関連した看過し難い事象の発生が懸念されました場合には事実確認を行い、適正に対応して参る所存です」
歌舞伎は世界に轟く伝統芸能だ。守らなければならない文化である。しかし、それは時代が求める「健全性」に即していることが大前提だろう。社会が性加害やハラスメントの捉え方を変容させたように、歌舞伎界もまた、変わるべきときを迎えているのかもしれない。
※女性セブン2023年6月1日号