池田氏の地元事務所が家宅捜索を受ける様子(写真/共同通信社)
なぜ、証言にあるような資金集めが必要だったのだろうか。前出の元事務所関係者はこんな言い方をした。
「大きいのは総裁選でしょう。総裁選は公職選挙法の規制がないこともあって、お金がかかる。一流ホテルに選対本部を構えて、ホテル代から議員や秘書団の飲み食い代まで大変な金額になる。そうした状況に日頃から備えておかなければならなかったわけです」
安倍氏や安倍派だけのことではないとも言う。
「若手議員の頃は選挙のため、入閣適齢期になれば大臣ポストを得るために派閥に上納し、総理・総裁を目指すようになれば総裁選の資金と、昔から自民党の政治にはカネが必要。そういう金権政治の体質が問題なのです」(同前)
安倍氏の父・晋太郎氏の時代から安倍派と安倍家を取材してきた政治ジャーナリスト・野上忠興氏の話も元事務所関係者の証言を裏付ける。
「清和会(安倍派)では、晋太郎氏が会長だった時代にはすでに派閥パーティー券のキックバックが行なわれており、その後も引き継がれてきた。晋三氏は晋太郎氏の秘書としてそのやり方を側で見てきたし、議員になってからも清和会で育ったから、キックバックの仕組みや歴史を誰よりよく知っているはずです」
このような実態があるからこそ、今回の裏金問題では安倍派を中心に数多くの自民党の大物議員の名前が挙がっている。にもかかわらず、「安倍氏だけが知らなかった」という流れができていることこそが、病巣の根深さを示している。
(後編に続く)
※週刊ポスト2024年1月26日号