香港高等法院は英国で登録された「香港独立党」の活動にかかわったとして、英国在住でポルトガル籍の男性に対して、2020年施行の香港国家維持法による「分離独立煽動罪」で懲役5年の判決を下したことが明らかになった。香港各紙が報じた。
この男性はロンドン在住のポルトガル人のジョセフ・ジョン氏。同氏は2020年7月から2022年11月にかけて、インターネットの「香港独立党」のホームページなどで同党の活動内容などを投稿するなど、主に香港の中国からの独立を訴えていた。
これに対して、香港当局は同党を「違法政党」として認定。現在、活動はしていないが、同氏に対して逮捕状を出し、出頭を求めていた。
高等法院は4月、本人不在のまま裁判を開廷し、同氏がフェイスブックやツイッター、インスタグラムなどで、自身の主張や写真など、42件の投稿を行い、「香港政府と中国政府に対する抵抗」を28カ月間にわたって続けたと認定。「被告は躊躇なく歴史を歪曲し、中国政府を悪者扱いし、政治的、さらには暴力的手段を通じて香港特別行政区と中国政府の破壊を奨励した」と指摘し、香港国家安全維持法に基づき懲役5年の判決を下した。
これまで香港では、国家安全維持法に基づき、香港籍(中国籍)の20人が懲役刑を言い渡され、そのうち9人が少年院に収監されているが、外国籍保持者として有罪判決を受けたのは同氏が初めてとなった。
同法は世界中のどこにいても国籍を問わずいかなる人物にも適用されることになっており、今後、同氏以外にも、香港の独立活動を行ったとして、有罪判決を受ける外国籍保持者が出ることが予想されるという。