ライフ

成人失明原因第1位の緑内障 難治症は「ECP」で眼圧を保つ

緑内障は40歳代以降で発症リスクが高まるという(イラスト/いかわやすとし)

緑内障は40歳代以降で発症リスクが高まるという(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】緑内障は眼と脳を繋ぐ視神経が委縮する病気だ。最近は眼圧を低く保つことで進行を抑制できるため、眼圧に関係する房水を排出するチューブシャント治療を導入、効果をあげている。それでも眼圧が下降しないなどの難治症例には内視鏡的毛様体光凝固術(ECP)が開発された。これは房水を産生する毛様体をグリーンレーザーで凝固する治療で、今後は導入施設の増加が予想される。

 成人が失明する原因の第1位は緑内障によるものだ。全体の約25%を占めている。

 緑内障を発症してしまうと眼球の奥にある眼と脳を繋ぐ視神経が委縮し、徐々に視野が欠け、最終的には失明に至ってしまう。年齢性別を問わず発症するが、40歳代以降で発症リスクが高まる。

 島根大学医学部眼科学講座の谷戸正樹教授に聞いた。

「緑内障の原因は加齢が多く、次に近視です。高齢化に伴い、年々患者が増加しています。その中でも特に様々な原因で眼圧が上がるタイプは末期まで進行しやすく、結局は80代、90代になってから失明する患者が多いのです。眼圧が高くないタイプも含め、緑内障は眼圧を低めに保つことで進行を抑制できるという特徴があります。眼圧は房水(眼の中の水)の毛様体からの産生と隅角からの排出によるバランスなので、薬物療法やレーザー治療、手術によって眼圧をコントロールします」

 現在は房水の排出を高めるチューブシャント治療が導入され、患者の眼圧を保たせている。そのチューブシャント治療でも眼圧が十分に下降しない、あるいはチューブシャント治療に適していない難治緑内障もあり、今まで対処可能な治療法がなかった。

 これら難治症に谷戸教授が企業と共同で開発したのが、グリーンレーザーを照射して毛様体を凝固し、房水の産生を減少させる眼圧下降ECP治療装置だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン