スポーツ

《走る喜びを伝えて30年》パラリンピック出場選手を多数輩出する“スポーツ用義足の練習会” 「誰もがスポーツを楽しめる機会を」義肢装具士の思い

義肢装具士の臼井二美男さんが義足のサポートをする

義肢装具士の臼井二美男さんが義足のサポートをする

 8月28日に開幕するパリ2024パラリンピックには、多くの義足のアスリートが挑む。義足には日常生活で付けるものと、競技で用いるスポーツ用義足がある。『パラリンピックと日本人』(小学館新書)の著者でノンフィクションライターの稲泉連氏が、パリ大会に出場するアスリートも輩出した、スポーツ用義足の練習会「スタートラインTokyo」の現場を取材した。

 * * *
 足を失って義足になった人に、スポーツをする機会をつくる──。日本におけるスポーツ用義足の第一人者である義肢装具士の臼井二美男さんは、切断者スポーツクラブ「スタートラインTokyo」を30年以上にわたって続けてきた。

 練習会は月に一度。小学生から70代まで、幅広い世代が参加している。この日も都内の陸上競技場には約70人が集まり、理学療法士のアドバイスも受けながら、笑顔の絶えない練習が行なわれていた。なかにはリオでのパラリンピックに出場した大西瞳さんの姿も。練習会は交流の場でもある。

「スポーツをするために義足の人がこれだけ集まるのは、世界でもこの練習会だけだと思います」

 臼井さんはそう語る。

「スタートラインTokyo」からは、これまでも鈴木徹さんや大西瞳さん、谷真海さんなど多くの陸上競技のパラリンピック出場選手を輩出。パリ大会の走り幅跳びに出場する高桑早生選手も、練習会に参加していた一人だ。

「でも、僕らの練習会の目的は、パラアスリートを養成することではありません」と臼井さん。

「私は『義足で走ること』自体が大事だと考えています。それからはパラリンピックを目指してもいいし、ただスポーツを楽しむために来てもいい。いずれは100メートルを走る、といった目標を立てますが、まず義足で走る場所をつくり、誰もがスポーツを楽しめる機会を提供したいという思いで、活動を続けています。義足づくりに伴走してきた患者さんが歩けるようになり、段階を追って走れたときは今でも胸が詰まります」

関連記事

トピックス

12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
「どうして卒業できないんだろう…」田村瑠奈被告(30)の母親が話した“大きな後悔” 娘の不登校に焦り吐露した瞬間【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン