上京後は高級デートクラブやデリヘル、AV出演で生計を立てていた
明かされた須藤被告の「AV出演」ギャラ
いっぽうの須藤被告は北海道・札幌に生まれ育ち、上京後は高級デートクラブやデリヘル、AV出演で生計を立てていた。事件前年、デリヘルの客に「収入が少ない」と不満を漏らすと、客がAV業界関係者だったことから「(AVに)出ればまとまった収入が受け取れる」と誘われる。
仕事内容や報酬などを聞き、4作品に出演。計38万円ほどの出演料を得ていた。そんな頃、先の紹介者づてに、野崎さんと会うことになった。
野崎さんは須藤被告に「会うなり『結婚してください』と言い、帯付きの100万円札を渡してきた」(弁護側冒頭陳述より)という。そこで須藤被告は〈毎月100万くれるならいいですよ〉と言い、冗談だと思っていたところ、100万円の振込があり、2018年1月に結婚を決意したのだそうだ。
「本当にもらえるなら結婚してもいいかな、と思ったのです」(弁護側冒頭陳述より)
こうして事件3ヶ月前である2018年2月8日にふたりは結婚。しかし、須藤被告は和歌山に定住することはなかった。野崎さんは離婚を早々に考え始め、同年3月下旬には離婚届を作成、須藤被告に送付していた。さらに同年4月下旬、野崎さんは須藤被告に電話をかけ「離婚して欲しい」と告げた(検察側冒頭陳述より)。
その直後、須藤被告のAV出演が野崎さんの会社の従業員に知られ、事件直前には、さらに家政婦にも知られることとなった。
後編では、公判で明らかになった須藤被告が、事件前日などに調べていた不穏な検索ワードなどについてレポートする。
(後編に続く)
◆取材・文/高橋ユキ(フリーライター)