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《収入は月290万円》「日本の風俗は病む」風俗嬢・ミドリ(仮名・35)が違法な“ハイリスク海外出稼ぎ”をするワケ「女性は使い捨ての道具」

も“性風俗業での海外出稼ぎ”は増加している(イメージ)

も“性風俗業での海外出稼ぎ”は増加している(イメージ)

 海外へ出稼ぎに行く日本人風俗嬢が増加している。アメリカを始め、多くの国が売春目的での入国を禁止している上、慣れない土地での仕事となると危険な目に遭う可能性が高まる。それでも“性風俗業での海外出稼ぎ”は増加しているようだ。

 性風俗業で働く当事者らを支援する団体の元にも、日本から出稼ぎに行った人が現地でトラブルに巻き込まれるなどして相談が寄せられる機会が増えているという。

 そんな女性たちの実態に迫ったのが、ジャーナリスト・松岡かすみ氏の著書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(朝日新聞出版)だ。違法である性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。現代日本社会全体で考えるべき問題を提起する。

 ミドリさん(仮名・35歳)は、かつて日本でもキャバクラや風俗店で働いていた。しかし現在はアメリカを中心とした海外でエスコートガールとして働いている。特定の店に所属せず、客と直接やり取りをして仕事を得る。稼ぐ金額は、1か月で平均約2万ドル(約290万円)。

 彼女は個人間の取引が「リスクの高い働き方である」ことは自覚しつつも、「メリットが大きい」と話すのだ──。(同書より一部抜粋して再構成)【全4回の第3回。第1回を読む】

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風俗嬢は病んでいる子が多い

 ミドリさんが今、「日本の風俗には、もう戻らない」ときっぱり決めている理由には、収入面もあるが、古くから続く枠組みの中で働く窮屈さもあるという。

「日本の風俗業界は、男を喜ばせるために男が作った、男のためのシステムという感じ。私が日本で働いてきた店は、すべてオーナーは男性で、決定権や主導権は男性が握っていました。サービスをするのは女性なんだけれど、ただの“捨て駒”という感じ。若ければ若いほど良くて、稼げなくなってきたら放り出される。女性は使い捨ての道具という感じがして嫌でした」

 海外でも、似たようなことを全く感じないというわけではないが、日本ほどは強く感じないという。

「海外だと女性の風俗店オーナーもたくさんいるし、個人で客を取って稼いでいる女性も多いから、日本に比べると“システムの中で働かされている”という感覚があまりないのかもしれません。

 日本での数をこなす働き方より効率良く稼ぐことができるし、どこまで何をやるか、やらないか、内容に応じて金額をどうするか、客を選ぶことも含めて自分の裁量で決められる働き方は、日本の水商売や風俗の世界にはなかった」

 加えて、海外で出稼ぎをし始めてから、「その他大勢に見られたくない」という意識も一段と強まった。キャバクラ時代から、「私は他の子より稼げる」という意識が高かったというミドリさん。その後、風俗業界で働き始めてからも、「私は他の子と違う」という思いが、どこか自分の中で支えになっていたという。

 その理由として、ミドリさんは「こんなこと言うと最低だって思われるだろうけど」と前置きしたうえで、「風俗嬢は病んでる子が多いと思う」と語り始めた。ミドリさんも業界で働き始めてから、風俗嬢として働く女性の中に、何らかの精神的な問題を抱えている人が少なからずいることを知ったという。

「『甘えたい』『構ってほしい』といった願望が強く、無意識のうちに他人に依存してしまう子が多いんですよ。客に依存する子もいれば、一緒に働く仲間に依存する子もいる。承認欲求が強い子も多くて、一緒にいてしんどい人が結構多かったんです。

 それとなく聞くと、やっぱり小さい時に、両親からまともに愛情を受けて育ってなかったりするんですよね。私も今、両親とはほとんど縁が切れているけれど、一応それなりに育ててもらったという感覚はあるから、保っていられるのかな」

 いわば、「“病んでるうちの一人”には絶対見られたくなかった」というミドリさんは、「この子たちと私は、全然違うんだ」「私はもっと違う働き方ができるんだって、自分で自分に言い聞かせてました」。

 そんななかで出会ったのが、海外出稼ぎという働き方でもあったという。

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