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【祝・連載500回】高田文夫氏が「芸能界の中で一番憧れた」いしだあゆみさんを偲びつつ「500」にちなんだ色々を思う

連載500回をむかえた「笑刊ポスト」(イラスト/佐野文二郎)

連載500回をむかえた「笑刊ポスト」(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は連載500回をみずから祝う。

 * * *
 誰も気付かなかった。ましてやこのページを担当するY田すら何も気付かなかったが、実はこの回で連載500回なのである。せめて「おめでとう」のひと言も欲しかった76歳である。悔しいから500にまつわるあれこれを書こうと思った矢先、いしだあゆみの悲しみである。

 実を言うとこの芸能界の中で一番憧れ遠くから見守っていたのがいしだあゆみなのだ。寂しい。我々歌い手仲間(?)は同じ昭和23年生まれが多く、いしだ、私そして沢田研二、五木ひろし、前川清、都はるみ、井上陽水、由紀さおりら文句なしの錚々たるメンバー。

『ブルー・ライト・ヨコハマ』を歌った20歳、私は20歳でその歌声にしびれた。『あなたならどうする』(どうにも出来なかった)。『砂漠のような東京で』(砂になりたかった)。あれだけの美しさなのにサバサバしてて茶目っ気がタップリなのだ。昔のビデオで言っていた。「自分のレコードなんて一枚も持ってない。自分の出た映画なんて見た事もない」。ハッキリしている。高倉健との名作『駅/STATION』も見てないのだ。

 昔は歌番組というのがいっぱいあったから生涯で一度だけお会いした事がある。段取りの説明に伺ったのだがアワアワドキドキ、何を話したかも覚えていない。表に出てその場に倒れた。

 いしだは言う「同じレコード会社で同年代だったからテレビで都はるみ、いしだあゆみ、そのあとにちあきなおみが歌うのよ。ふたりにはさまれりゃどう見たって私が下手にみえるのよ(笑)」と笑いとばす格好良さ。線香花火のような人生がいいと言っていたが夢は叶ったのかな。合掌。

 500ときいてまず思い浮かぶのは500円札岩倉具視である。500円硬貨の登場は1982年。そういえばもう500円札って見かけないネ。2000円札と同じくらい見かけない。我々世代がフォークだと言って全員歌ってたのが『500マイル』。一体500マイル先に何があるっていうのか。呑ん兵衛にとって500といえば缶ビールのロング缶の事だろう。普通のペットボトルも500ml。「633(ml)は大人の義務教育」とうまい事言ってんのは「町中華」の玉袋筋太郎。ビールの大びんである。

 本塁打500本以上の打者を日本男子なら8人言えますよネ? 大人の義務教育として並べておきます。868王貞治、657野村克也、567門田博光、536山本浩二、525清原和博、510落合博満、504張本勲、衣笠祥雄です念の為。

 500回は誰も気付かないはずです。私の夫婦、金婚式(50年)を2年もう過ぎているとおとつい気がつきました。イヨッ老夫婦。

※週刊ポスト2025年4月11日号

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