筆者は頷くしか無い。至極当然の話で、実際に先の市民集会でも、
〈市民をバカにするのもいい加減にしろ〉
〈(信頼は)すでに無くなっている〉
〈(市議会の)議長に見せた卒業証明書は嘘なのか〉
と散々であった。それもそのはずで田久保市長、卒業証書を市議会の議長らに見せたそうだが一瞬だけ見せて引っ込めたもので、まして結局のところ大学側は「除籍」にしていた。じゃあその卒業証書は何だったのか。除籍とわかったはずなのに。
除籍された学生が持つ卒業証書、それこそ東洋大学(当時は哲学館大学)除籍の大先輩で「私小説の神様」と呼ばれた破滅の無頼派、葛西善蔵もあの世でびっくりしてそうな話だが、その葛西善蔵は大学に行かなくなって学費未納のあげくの除籍であった。
大学は違うが映画監督の庵野秀明(大阪芸術大学)もサザンオールスターズの桑田佳祐(青山学院大学)もタモリ(早稲田大学二文)も除籍である。大学に行きたくなければ、行く必要がなくなれば行かないのは自由で自己責任、それでも大成した彼らのような才人もいる。田久保市長の言うように大学に行かずバイクで放浪しようが生き方は人それぞれ、ただひとつ、嘘をつかなければいいだけの話だ。
ちなみにNEWSポストセブンの東洋大学卒業記者によれば「ものの30分で受け取れた」とのことで、これは130年以上の歴史を持つ日本を代表する規模の総合大学だからというだけでなくどこも時間の長短あれど卒業証明書は簡単にとれる。中退でも成績証明書はとれるし、学籍簿そのものが抹消される除籍であっても除籍の記録は残っているので照会できる。
これについて湯の花通りの先、キネマ通りで60代の女性に話を聞く。これまたうんざりした様子。途中でテレビクルーを見かけたが、彼らもこの田久保市長の件で取材しているのだろう。
「ほんと恥ずかしいです。嘘ついたんだからまずごめんなさいでしょう。それなのにニヤニヤよくわかんないことばかり言って。間違いなら間違いってなんであやまれないのかしら」
結果として嘘つきになったということか。