「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
和歌山では知られた一族の、不動産業の女性の「特別な相手」に
ほどなく、丸山さんに人生を変える出会いが訪れた。
「クラブで黒服をやっている時に、不動産業の女性とお付き合いさせてもらいました。彼女の家は、お祖父さんの代からの不動産屋さんで、和歌山では知られた一族です」
当時、丸山さんは21歳、女性は50代で婚姻歴はなかった。
「背がね……控えめというか、すごく小柄でした」
新内のすべてのホストクラブが彼女を歓迎していたが、その財布の幸運に与かれる店はごくわずか。そんな中、女性と接するプロフェッショナルではない丸山さんが選ばれたというのだ。
「仕事の後、可愛がってもらっていた高級中華屋さんで、1人で飯を食っていただけなんですけど」
彼女は店の常連で、その晩もホストや取り巻きを連れて現れた。
「皆、けっこう酔っぱらっていて……しばらくしたら、彼女がめちゃくちゃに怒り出して、ホストとかを店から追い出したんです。それで、彼女が1人になって」
すると店のオーナーシェフがやってきて、こっそり丸山さんに声を掛けた。彼女のもとに、マンゴープリンを運んでほしい。
「自分はお盆にプリンを載せて運んだだけで、そんな余計なことを話したりはしなかったんですけど」
なぜか丸山さんは、彼女のお眼鏡に適い、しばしば呼び出されるようになった。そして取り巻きに埋没することなく、1か月も経たずに特別な相手になったそうだ。
「肉体関係はあったといえば、ありました。でも勃たないですよ……だから薬をのんだりして。テンションの振り幅はあっても、基本的にはいい人だったと思います。ただ、自分的には1年ちょっとで、もう限界でした」
丸山さんはその1年ちょっとの間に、彼女のお金で車の免許を取り、誕生日にはきちんと名義変更した車をもらった。