『ふれあい』は126万枚の大ヒット
松田優作は「繊細な人」だった
『われら青春!』のあとには、同じく日本テレビ『俺たちの勲章』の出演が待っていた。共演は松田優作である。
「番組のプロデューサーの岡田さんは、背の高い俳優が好きなんですよ。松田さんも俺も180cmを超えてるし。ゲストの人が来ると、『おまえら、身体だけじゃなく、態度もでかいな』とか言われてましたね」
バディ物の刑事ドラマの先駆けとも言える『俺たちの勲章』は好調なスタートを切ったものの、撮影で鹿児島に行ったとき、ある事件が起きた。
「俺はその日、コンサートでいなかったんですよ。あとで聞いてびっくりしてね。今だったら番組がなくなってるって話ですけど、まあ、松田さんはやんちゃですから」
優作が鹿児島ロケで暴力事件を起こしたのだ。
「でも、やんちゃな反面、凄く繊細な人で、撮影隊の中で自分がなんと呼ばれているかを気にして、名前を呼び捨てにされると怒ってましたね」
『われら青春!』に始まり、『俺たちの勲章』にも主演した彼は、若者の憧れの存在になっていた。
「ただ、当時の俺は松田さんのように役者としての強い自覚がなかった。まだ学生気分なんです。真逆の人間が一緒に仕事をしていたわけです」
優作からはよく説教をされたという。
「やっぱり、自分とは生き方が違うと思って、歯がゆかったんでしょうね。特に俺が歌を出すことに関して、松田さんは役者は役者だけでやれ、という考え方だから。俺のライブなんかに来ても、『俊、おまえ歌をやめろよ』とか言うんです」
