中2でショーパブにデビュー
──中2でショーパブにデビューしたきっかけは、何ですか。
親が経営していたスナックのお客さんがある日、「賢ちゃん(はるなの本名=大西賢示)と同じような人たちがいる店があるから、一度行ってみない?」と言う。それで連れていってもらったのが大阪・ミナミにある「冗談酒場」というショーパブだったんです。
──“賢ちゃんと同じような人”。つまり生まれた性別に違和感がある人、ということですよね。「なんか違うな」って、いつ頃から自覚を?
小学生の頃には思ってたかな。フリルやリカちゃん人形が大好きなんだけど、親にそれをほしいと言っても「お前は男だろ」って相手にされない。時代も、男の子のものは青や黒、女の子のものは赤、ピンク。それに疑問を持つのも許されないような風潮でした。
自分にとっては“当たり前”の好みでも、口にすると怒られる。そういう経験を繰り返すうちに、これは「言ってはいけない」ことなんだ、自分という存在は“タブー”で、理解してくれる人はいないんだって心を閉ざすようになりました。
──家では、どういう過ごし方を?
父は少年野球のコーチで、私も夕方には必ずキャッチボールの相手をさせられたし、週末も野球をするから、それが本当に嫌でしたね。私はそんなことよりピアノが上手くなりたいんだけど、父からは「ピアノなんて男らしくない」とか言われちゃう。
──その頃の、心の拠り所は……。
子供だから、辛さを解消する術がわからない。でも、それなりに現実を受け止めないといけないでしょう? 逃げたくなった時は、おばあちゃんの家に行って人形遊びをしたり、松田聖子さんの曲を聴いたりしていました。聖子さんのようなアイドルになりたいと夢見ているあいだは、いろんなことが忘れられたんですよね。
