性転換手術は怖かったという
怖かった性転換手術
──手術は、怖くなかったですか。
海外での手術で失敗している先輩も結構いましたし、やっぱり怖くはありました。手術前には、“この手術で命を落としても自分の責任です”みたいな文書にサインをしないといけないし……。でも同じぐらい、どんな未来が待ってるんだろうって希望と期待もあって。
──手術のことを親には…?
親には言いませんでした。親からもらった体を、親がいちばんイヤな形にいじるわけやから“相談しない”という選択しかないんですよね。手術代は自力で貯めていて、当時で200万円ぐらいだったかな。
──いざ手術を受けて、予後はいかがでしたか。
抜糸は1週間後の予定だったんですけど、手術して4日後にどうしても休めないショーがあったので、病院を抜け出して出勤したんです。そうしたら、出番前に動くうちに糸が抜けちゃって、出血しながらステージへ……。和田先生には呆れられたけど、でもでも、痛さとか苦しさじゃないんですよ。それを上回る嬉しさ、幸せがあったんです。
生を受けて、親が選んだ服をそのまま着て生きていくこともできたかもしれない。でも、あの時の私は、手術を受けて、自分らしい生き方を自分で手に入れた実感がありました。ワクワクとドキドキと、ウキウキでしたね。
(第2回につづく)
