市街地では捕殺対象、自然遺産では保護「知床半島のヒグマ管理MAP」
知床が箱わなの使用に消極的なのはクマに敬意を払っているからだ。
檻に入ったクマは歯が折れることも爪が剥がれることも構わず必死で檻を破壊しにかかる。まさに死に物狂いなのだ。そのため、長時間放置されると歯と爪がボロボロになってしまう。それはあまりにも残酷ではないかという思いがあるのだ。
また、箱わなは銃による駆除と異なり、100%ねらったクマをとらえられるとは限らない。知床では市街地に出没するなどの問題個体は駆除するが、罪のないクマを痛めつけてしまうことに対する抵抗感が強いのだ。
また、「箱わなはクマの恨みを買うだけ」と指摘するのは竹田津実だ。竹田津は獣医として、ときに動物写真家として北海道の野生動物を60年以上、見続けてきた。
「クマは賢い動物だからね。たとえば、親子グマのうち、親か子、どっちかが箱わなにかかったとするでしょう。その場合、つかまらなかったほうのクマはその場を離れませんよ。撃たれるところも見てる。そうすると、どうなるか。怨念を抱くようになるんですよ」
ただし、知床でも近年、限りなく100%に近い確率でターゲットが捕獲できそうなときに限って、箱わなの使用を認めるようになったそうだ。
前出の憤っていた人物はこんな不満も漏らす。
「市街地に出てきたら駆除って言いますけど、出てきてる時点で、もう失敗しているんですよ。市街地に出てこないように対策を立てないといけないのに、その前のゾーンでは異常にクマに甘い。動きを観察していればだいたいこのクマは出てくるなって、わかるんですよ。なのに『出ないことを祈りましょう』とか言うわけです」
