本社ビル前を掃除するのが日課だった元王将社長・大東さん(2013年当時)
「たまたま事件現場に田中被告がいただけ」という可能性を崩せるか
犯行現場は住宅街で多くの住民が発砲音を聞いていた。現場には遺留品も残されていて犯人の逮捕まで時間の問題と見られていたが、進展が見られず。事件から2年後の2015年12月、複数のメディアが田中被告の名前を把握した上で、「九州の暴力団関係者による犯行」と報じたが、そこから逮捕までさらに7年もかかっている。当時事件を取材した週刊誌記者はこう語る。
「殺害現場に残されたタバコの吸い殻から検出されたDNA型が当時、別の銃撃事件で服役していた田中被告のものと一致。さらに当日、小雨が降っていたこと、そしてタバコの燃焼状況から『湿った路面で火が消された』と結果が出ていて、第3者が吸い殻を捨てた可能性は否定されています。
さらに実行犯が逃走に使ったバイクの窃盗に使われたとみられる軽乗用車も、田中被告の知人所有の車だった。状況証拠こそ揃っていたのですが、大東氏と田中被告の接点などが見つからず、事件を担当する京都府警と工藤会捜査に長く携わる福岡県警の連携もうまくいかなかったことで逮捕まで時間がかかった」
こうした経緯があるため、前出・全国紙社会部記者は「検察が新証拠を提出しない限り厳しい公判になる」と主張する。
「今のところ、確認できているのが状況証拠だけで、犯行の瞬間の目撃情報など有力な直接証拠がない。“たまたま田中被告が事件発生時、現場付近にいただけ”という可能性を完全には排除できないのではないか」
2019年に神戸市で発生した六代目山口組中核組織・弘道会系組員銃撃事件で殺人未遂の罪に問われた中田浩司・山健組組長も、一審公判で検察は防犯カメラのリレー映像という状況証拠をもとに中田組長の罪を主張。一方、中田組長は完全黙秘。裁判所は中田組長と防犯カメラに映った犯人が同じ服装を着ていたことは認めたものの『異なる人物が同一ブランド・同一タイプを着用していた可能性を排除できない』として無罪判決が出ている。前出・社会部記者が続ける。
「初公判での田中被告の様子から推測するに、この先、有益な供述をするとは思えないため、中田組長の裁判と似たような展開になる可能性もある。とはいえ、検察にもメンツがあるため、最高裁までもつれ込むことも十分に考えられる」
京都地裁での公判はこの先、どのような展開を見せるのだろうか。
