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【最速大関・安青錦の素顔】ウクライナを離れて3年、なぜ強くなれたのか? 来日に尽力した恩人は「日本人的でシャイなところがあって、真面目で相撲が大好き」、周囲へ感謝を忘れない心構え

決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)

決定戦で横綱を下した安青錦(写真/JMPA)

 九州場所の千秋楽で横綱・豊昇龍との優勝決定戦を制し、史上最速で大関昇進を決めた安青錦(21)。母国を襲った戦火を逃れて来日後、わずか3年ほどで大関昇進という異例の大出世を遂げた。それが実現できたのは、大相撲の世界へと安青錦を導いた人たちとの深い絆があったからだ。

入門させる予定はなかった

「第一印象で強いなとは思わなかったですね」

 九州場所前の「週刊ポスト」の密着取材で、3年前(2022年8月)の安青錦との出会いを振り返ってそう語ったのは、師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)だ。

 記録ずくめのスピード出世を果たした安青錦だが、師匠が最初に見た時に感じたのは「一生懸命で、真面目そうな子」というごくありふれた印象だったという。

 当時の安青錦が、とにかく前を向いて進まなくてはならない状況にあったことだけは間違いない。

 2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻により母国は戦時下となり、戦闘員以外の多くが国外に逃れ、日本にも多数のウクライナ人が避難した。安青錦もその1人で、7歳から続けた相撲で繋がった縁を頼り、同年4月に来日した。

 相撲部屋への入門を模索するなか出会ったのが、安治川親方だった。当初、安治川部屋では外国出身力士を入門させる予定はなかったという。だが、ひたむきに練習に励む安青錦の様子を見て、親方が翻意する。

「強くなるとかどうこうの前に、しっかりやってくれるのではないかと感じました。彼の素直な目を見て入門させることを決めた。そこだけです」

 安治川親方のこの時の決断が、史上最速での大関誕生へと繋がった。

 2022年12月に入門し、翌2023年の9月場所で初土俵を踏むと出世街道を駆け上がった。今年3月の新入幕場所ではいきなり11勝。以来、4場所連続で11勝を挙げた。

 新関脇として臨んだ今場所は12勝3敗で優勝決定戦に進み、豊昇龍を送り投げで下して初優勝を果たす。21歳8か月での優勝は貴花田、北の湖、白鵬に次ぐ歴代4位の若さで、14場所での大関昇進は琴欧洲の19場所を大きく塗り替える最速記録となった。

 優勝から一夜明けての会見で安青錦は「親方にひとつ恩返しできたことが嬉しかった」など、幾度となく師匠への感謝を口にした。

 安青錦は身長182センチ、体重140キロで力士としては小兵に数えられるが、その手本となったのが、現役時代に同様の体格(184センチ、149キロ)で“業師”として活躍した師匠だ。

 九州場所前の密着取材で、過去の小兵力士の映像を見て研究を重ねているという情報を安青錦本人にぶつけたところ、「どちらかというと自分の相撲の映像を見て反省していることが多い」としつつ、

「師匠の取組は何度も見ています」

 と強調していた。

 師弟の絆が強いことを窺わせる言葉もあった。

「相撲でも私生活でも、師匠の教えを守ったことが一番大きいと思う。基礎運動が重要であること、諦めない姿勢についても教えてもらいました」

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