卓球混合団体W杯/準優勝の日本(ABACA PRESS/時事通信フォト)
そこで考えられるのは選手らの認知の仕方、心の在り方、もっていき方だろう。超アウェームードや会場のプレッシャーに”最悪だ””嫌だな””うるさい”と感じ、それに対し”やめてくれ””静かにしろよ”と思えば、そうならないことに不快感が増す。考えても、願っても変わらないことにイライラし、ストレスが強くなり、思考や感情はネガティブな方向に向かう。ネガティブ思考や感情は身体にも影響を与え、パフォーマンスを乱してしまうことになる。気にしないようにするのが一番だろう。
そう言いたいところだが、気にしないようにしようと思うこと自体、気になっている、気にしていることに他ならない。気にしすぎて、会場の雰囲気に囚われてしまえば本末転倒になる。アスリートなら勝ちたいのは当たり前、勝利を目指す試合で集中を乱されるようなヤジやブーイングは耳にしたくない。周囲が気になってしまえば、ゾーンに入るためのトレーニングを重ねていても、そこに入れるかどうかはわからない。自分で変えられない会場の雰囲気、変わらないアウェームードに感情を乱され、思考を引っ張られないよう、自身への価値観をしっかり持つことだ。
オリンピックや国際大会などでメダルを取るアスリートらのインタビューで度々聞かれるのが、「試合が楽しかった」「演じるのが楽しかった」「全力を尽くした」という言葉だ。こう発言できるのは、どんな状況でも試合をするのが楽しい、それが自分のやりがいや生きがい、そのスポーツが大好きだなど、スポーツや試合に対する価値観が自分の中ではっきりしているためだろう。
今大会を総じて「中国の選手は何も非がない。ただただ彼らは強いだけ」と準優勝のインタビューでコメントした張本選手。「実力で彼らに勝って金メダルを取りたい」「次は自分の試合だけに集中して」という彼だけに、オリンピックで金メダルをとる日もそう遠くはないだろう。
