観音駅に停車する銚子電気鉄道3000形車両(元伊予鉄道700系)(時事通信フォト)
2026年も2025年から続く物価高騰と工夫をこらして付き合うことになりそうだが、それは一市民だけでなく、鉄道会社も同じようだ。ライターの小川裕夫氏が、”ぬれ煎餅の奇跡”で知られる銚子電鉄が、米価高騰にどのように立ち向かっているかについてレポートする。
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2025年春から政府備蓄米が放出され、米価は落ち着きを見せるかと思われたが、その後はじりじりと値上がりを続け、新米が出回る時期を過ぎても高値のままとなっている。米価の高騰は家計ばかりではなく、鉄道会社の経営という思わぬところにも影響を及ぼしている。
銚子電気鉄道(銚子電鉄)は、千葉県銚子市に所在する銚子駅と外川駅とを結ぶ約6.4キロメートルのローカル鉄道だ。千葉県といっても東京への通勤圏より外にあり、多くの人たちは自家用車を日常的に利用する。銚子電鉄の利用者は免許やマイカーを持たない学生や高齢者が大半を占める。
ただ、銚子電鉄は路線が短いこともあり、沿線に居住する中高生などは電車を利用せずに自転車を使って移動することもある。それでも不便を感じることは少ないので、メインの需要は高齢者になる。
そうした背景から、銚子電鉄は本業たる運輸収入で経営を支えることが難しい。銚子電鉄は鉄道事業を継続するべく、副業の物販による収益で経営をつないできた。
銚子電鉄の物販事業を全国に広めたのが、2006年にインターネットで「ぬれ煎餅を買ってください」と呼びかけた出来事だった。
売れるものは何でも売る
銚子電鉄は2006年に老朽化した線路や踏切の改修費用を捻出することができない状況に陥ったが、この呼びかけを通じてぬれ煎餅が飛ぶように売れる。当時は現在のようにSNSが盛んではなかったが、それでも銚子電鉄の悲痛な叫びは話題を呼んだ。ぬれ煎餅を応援購入する輪は全国へと広がり、その売上が銚子電鉄の窮状を救うことになった。
「ぬれ煎餅は爆発的なヒットは経営を支えましたが、いつまでもブームが続くわけではありません。とにかく、売れるものは何でも売るという考え方で、常に新しい商品の企画を考えています」と話すのは銚子電鉄総務部の担当者だ。
