公開日:2022.03.24 |   

健康長寿のカギは腎にあり!「腎臓力」を高める“最強食品”ランキング「カリウムの摂取が大切」【専門家22人が回答】

 免疫細胞の7割が集まるとされる腸、命の要となる心臓、呼吸を司る肺──こうした臓器に比べ、腎臓はどこか一歩引いた存在だったが、それもいまや昔。長寿が当たり前となった現代の幸せは、腎臓にかかっていることが最新研究によって明らかになりつつある。

腎臓の模型
長寿のカギを握る腎臓の力を高める食材は?(写真/アフロ)

 人生100年時代を生き抜くカギは、腎臓にある──。現在、医学界ではこんな新説が注目を集めている。自治医科大学抗加齢医学研究部教授の黒尾誠さんが解説する。

「『尿を作り、排出する器官』として認識されている腎臓ですが、実は体内の栄養状態を一定に保つ役割も果たしています。私たちの体には、食べ物を通して水分や塩分、カルシウムやリンといったさまざまな成分が入ってきますが、その内容や量は毎日異なります。腎臓はこれらのバランスに目を光らせ、必要な栄養素だけを体内に残し不要な物質は体外に排出して常に過不足のない状態を保てるよう、コントロールしている。この機能を維持できるかどうかで、年を重ねても健康でいられるかが決まるのです」

 黒尾さんによれば、特に重要なのは「リン」を排出する働きだという。

「リンは歯や骨を構成するために必要な成分ですが、一方で別名『老化加速物質』とも呼ばれ、動脈硬化や心臓病、皮膚の老化の原因になるとされている。さらに左右の腎臓それぞれに約100万個存在し、血液のろ過装置として機能している『ネフロン』は、リンの排泄量が増えると減少してしまう。つまり腎機能を高め、リンをしっかり体の外に出さなければ、老化が進行してしまいます。動物の世界でも、象やコウモリなど寿命が長い動物たちは一様に、リンの血中濃度が低いのです」(黒尾さん)

腎臓の断面図解説イラスト
腎臓の血液ろ過装置(写真/Getty Images)

 腎臓と長寿の相関関係は東洋医学でも提唱されている。国際中医師の植木もも子さんが言う。

「漢方の世界では、“腎臓は成長や生殖を担う臓”とされており、体を健康に成長させ、老けさせないためには腎を活性化させることが重要だと考えられています」

 つまり、老けない健康な体のためには、「腎臓力」を上げることが必須だということ。しかも、腎臓の主な役割は口から入ったものを選別すること。何をどう食べるかによって、その機能は大きく左右されるのだ。専門家の答えに耳を傾けたい。

「腎臓力」を高める最強食品ランキング1~14位

 以下、22人の「食と健康の専門家」に「腎臓力を高める食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。

専門家のみなさん

秋津壽男さん(医師/秋津医院院長)、麻生れいみさん(管理栄養士)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、植木もも子さん(国際中医師)、黒尾誠さん(自治医科大学抗加齢医学研究部教授/『腎臓が寿命を決める』著者)、小島祥子さん(栄養士)、川村哲也さん(東京慈恵会医科大学客員教授)、佐々木欧さん(秋葉原駅クリニック医師)、柴亜伊子さん(美容皮膚科医)、清水加奈子さん(管理栄養士)、鈴木孝子さん(医師/南青山内科クリニック院長)、伊達友美さん(管理栄養士)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、浜本千恵さん(管理栄養士)、平地治美さん(和光漢方薬局薬剤師)、平柳要さん(医学博士)、藤岡智子さん(フードライター/栄養士)、前田あきこさん(管理栄養士)、牧田善二さん(医師/AGE牧田クリニック院長)、松田明子さん(医師/Beauty Connection Ginza Clinic院長)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)

≪順位(点数)/食品名/理由≫

14位(5点):赤ワイン

「ぶどうの皮に含まれる天然由来の『ポリフェノール』は強い抗酸化作用によって動脈硬化を抑制し、腎臓の老化を阻止する。アルコールが苦手な人はぶどうジュースでもいい」(川村さん)

14位(5点):梅干し

「酸味成分である『クエン酸』はミネラルが豊富で血流改善効果が。ただし塩分も多く腎臓に負担がかかるため減塩のものを選ぶこと」(鈴木さん)

14位(5点):もやし

ざるに乗ったもやし
(写真/アフロ)

「豊富に含有する食物繊維には体内の老廃物を排出する働きがあり、腎機能を助ける効果がある。水溶性ビタミンCも含有し、安価で手に入るのも推奨ポイント」(藤岡さん)

14位(5点):大豆ミート

「原材料である大豆に含まれる『リン』は吸収されにくく、腎臓に負担をかけずにたんぱく質を摂ることができる」(黒尾さん)

14位(5点):昆布

「ほかの海藻類に比べて『カリウム』の含有量がダントツに多い」(牧田さん)

14位(5点):ナッツ類全般

「ナッツ類に含まれる良質な油分には、血流を改善して腎臓の血液ろ過機能をサポートする働きがある」(小島さん)

14位(5点):焼きのり

「腎機能を維持するために大切なのは塩分の過剰摂取を控えること。のりの原料である海藻には塩分を排出する効果があるうえ、風味豊かな焼きのりは塩分少なめの食事メニューにおいていいアクセントになる」(秋津さん)

14位(5点):レバー

「『ヘム鉄』や各種ビタミン、『葉酸』、『たんぱく質』など臓器を構成する栄養素がトップクラスのいわばパワーフード」(柴さん)

14位(5点):はちみつ

「高い健康効果を持ち、腎臓をはじめとする臓器の酸化や炎症を抑える多種の『フェノール化合物』を含有する」(平柳さん)

11位(6点):いちご

いちご
(写真/アフロ)

「豊富に含有する『カリウム』は、体内に残留した余分な塩分や水分を排出する効果を持ち、腎臓の働きを助ける。推奨したいのは朝に食べること。睡眠時に体内にたまった老廃物を排出してくれる」(伊達さん)、「100gで1日に必要な『ビタミンC』の6割を摂ることができる。包丁いらずでそのまま食べられる手軽さもいい」(磯村さん)

11位(6点):お酢

「主成分の『酢酸』には降圧効果が。腎機能低下の大きな原因である高血圧予防が期待できる」(佐々木さん)、「調味料として酢を積極的に使い、腎臓に負担をかける塩分を減らしてほしい」(前田さん)

11位(6点):豆腐

お皿に乗った豆腐
(写真/アフロ)

「『植物性たんぱく質』や『ミネラル』など栄養素をバランスよく含むうえ、水分量も多い。体に負担をかけずに腎機能を活性化させてくれる」(牧田さん)、「豊富に含有する『マグネシウム』には腎臓を傷つける『リン』の吸収を抑制する効果がある」(黒尾さん)

9位(7点):黒ごま

「薬膳では黒い食べ物が腎臓を強くするとされる。栄養素上は白ごまと大きく変わらないが、皮の黒い色素に含まれる『アントシアニン』には強い抗酸化作用がある」(平地さん)、「たっぷり含む『セサミン』には、降圧効果や抗コレステロール効果など、腎機能の低下の原因となりうる症状を予防する働きが期待できる」(松田さん)

9位(7点):海藻類全般

ざるに乗った乾燥昆布
(写真/アフロ)

「わかめやひじきに代表される海藻類は、総じて腎臓への負担を軽くする『カリウム』が豊富。食物繊維が豊富で、整腸作用が期待できるのも推奨ポイント」(松田さん)、「漢方の世界では“腎を活性化させる黒い食べ物”として重宝されている。体を冷やさないためにガーリック炒めや、しょうがと一緒にスープに入れるなど熱を通し温かくして食べてほしい」(植木さん)

8位(8点):キウイ

「腎臓の働きを助ける『カリウム』や『ビタミンC』が豊富。色や品種でこれらの栄養素の含有量は大きく異ならないため、好きなものを選んで」(伊達さん)、「適量のカリウムを含むキウイは日常的な摂取にうってつけ。ただし腎不全に罹患している人は症状を悪化させるため、避けるべし」(秋津さん)

7位(9点):いわし

「いわしに代表される青魚が含有する良質な油分は、動脈硬化を予防し、血流を促すことが立証されている。血液のめぐりがよくなることで腎機能も向上する」(望月さん)、「いわしの油分が持つ脂肪燃焼効果に注目してほしい。腎機能が低下する1つの原因は肥満。食卓のメインに青魚という選択肢を持ってほしい」(磯村さん)

5位(10点):くるみ

殻の状態のくるみ
(写真/アフロ)

「ナッツ類の中でも良質な油分である『オメガ3系脂肪酸』の含有量が多く、血流を改善して腎機能を助ける効能がある」(望月さん)、「中国医学では別名『腎精』と呼ばれるほど、腎を活性化させる食品として親しまれている」(田中さん)、「良質な油分はもちろん、食物繊維やマグネシウム、亜鉛など多彩な栄養素をバランスよく含有する。ただしそのぶんカロリーも高い。1日の摂取量は5~10粒に抑え、食べすぎに注意してほしい」(中沢さん)

5位(10点):納豆

糸を引く納豆
(写真/アフロ)

「含有する『ポリアミン』には臓器の炎症を抑える働きがあるため、慢性腎臓病の発症を予防したり、進行を遅らせたりする効果がある」(平柳さん)、「納豆に含まれる食物繊維には腎臓にとって負担となる余分な糖やコレステロール、ナトリウムといった成分を絡め取って排出する効能がある」(磯村さん)、「納豆を食べることで増える腸内細菌由来の短鎖脂肪酸には、腎臓を保護する作用を持つ可能性があることが、マウスを使った実験によっても報告されている」(佐々木さん)

3位(12点):水

「腎臓のろ過機能によって生まれた老廃物は、水がなければ体外に排出できない。食品だけでなく水分の摂取にも留意を」(麻生さん)、「腎機能低下予防には水分摂取がマスト。ただし、すでに著しく低下している人や、むくみがひどい人は摂取の制限が必要になる。心当たりのある場合は、主治医に確認を」(前田さん)、「脱水は腎機能低下の要因に。お茶やコーヒーでもある程度は代用できるが、カフェインの過剰摂取に気をつけてほしい」(佐々木さん)

3位(12点):黒豆

黒豆
(写真/アフロ)

「漢方の世界では黒豆をはじめとする“黒い食べ物”が腎にいいとされている。特に黒豆茶はエキスがぎゅっと詰まっているうえ、手軽に摂取しやすくおすすめ」(植木さん)、「腎臓は冷えに弱いため、冷たい食品は機能を低下させる。煮物にしたりご飯と一緒に炊いたりと、ひと手間加えてほしい」(平地さん)、「老廃物の排出を促し、腎臓の働きを助ける『ミネラル』も豊富。発酵食品は栄養成分の吸収もいいため、黒大豆納豆はさらに推奨できる」(清水さん)

2位(16点):バナナ

バナナ
(写真/アフロ)

「豊富に含む『カリウム』には、過剰に摂取した塩分の排出を促す効果があるため、腎臓への負担を減らしてくれる」(浜本さん)、「一年中手に入りやすいのも推奨ポイント。ただし、体を冷やす作用もあるため、慢性冷え症の人は注意が必要」(伊達さん)、「カリウムに加えて食物繊維も豊富。高血圧をはじめとした腎機能低下の原因とされる症状を予防してくれる。ただし著しく腎機能が低下している人はカリウムの過剰摂取で体調が悪化するケースがある。必ず主治医に相談を」(佐々木さん)

1位(18点):山いも

山いも
(写真/アフロ)

「腎機能を向上させる『カリウム』が豊富。漢方の世界では“山に生える薬”を意味する『山薬』(さんやく)と称されるほど、その効果は高い」(中沢さん)、「いも類はどれもカリウムが豊富だが、加熱すると含有量が激減する。そのため、生のまますったり刻んだりして食べることができる山いもを選ぶといい」(伊達さん)、「消化酵素を豊富に含有するため、胃に負担をかけることなく腎機能を高めることができる」(清水さん)、「多く含む食物繊維は、腎臓に負担をかける高血圧の原因となる悪玉コレステロールを排出する効果が」(小島さん)

“黒い食べ物”が腎臓を強くする

 僅差でトップを争った山いもとバナナ、それらにキウイやいちごが続いたが、上位にランクインした食品には共通点がある。

 バナナに一票を投じた秋葉原駅クリニックの医師・佐々木欧さんが解説する。

「それは『カリウム』という成分が多く含まれることです。腎機能が低下する原因の1つは、塩分過多による高血圧ですが、カリウムには塩分の主な成分である『ナトリウム』を排出する働きがあります。特にバナナは手軽に食べられるうえ、食物繊維も豊富で腸の健康にも役立つ。常備しておきたい食品の筆頭です」

 管理栄養士の伊達友美さんは朝にこうしたカリウム食品を摂ることを推奨する。

「夜、眠っている間に体内にたまった老廃物を排出し、その日一日すっきりとした気持ちで活動できる。この時期特におすすめなのはいちご。ビタミンCもたっぷりです」

 ワンツーフィニッシュを飾った“カリウム食品”に次いで3位にランクインした黒豆を筆頭に、黒ごまやのり、海藻といった“黒い食べ物”の健闘も目立つ。和光漢方薬局薬剤師の平地治美さんが解説する。

「薬膳の世界では黒い色がついた食品は腎臓を強くするといわれ、重宝されています。例えば黒ごまは、栄養成分は白ごまとほとんど変わりませんが、黒い皮に含まれるアントシアニンに腎機能を高める抗酸化作用がある。黒豆の皮も同様です。雑穀米に混ぜたり、炊き込みご飯の具にしたり、普段の食卓に少しずつ取り入れてみてほしい」

黒豆と雑穀を混ぜて炊いたご飯
黒豆はお米と一緒に炊いて食卓へ(写真/Getty Images)

 くるみに代表されるナッツ類が票を集めたのも、抗酸化作用が理由だった。

「良質な油分の『オメガ3系脂肪酸』には、強い抗酸化作用があるうえ、血管を拡張し血流を促す働きも。腎臓は血液をろ過する機能も持つため、定期的に摂取することで腎機能は向上する。中国医学では別名『腎精』と呼ばれるほど、腎を元気にする食品として親しまれています」(田中病院院長の田中優子さん)

 ただし、ナッツ類は栄養豊富ゆえにカロリーも高い。1日の目安である5~10粒を守り、食べすぎには注意したい。

 ランキングを参考に、腎臓が最大限のパフォーマンスを実現できるような食卓を作ってほしい。

「その際、水分をしっかり摂ることも忘れずに。腎臓のろ過機能によって生まれた老廃物は、水がなければ体外に排出できません」(管理栄養士の麻生れいみさん)

 水分の摂取量の目安は食事以外で1L。尿の色が濃いときには増やし、むくんだら減らすなどの調節を。

「ある程度はお茶やコーヒーに置き換えてもいいが、カフェインの過剰摂取には注意してください。利尿作用に加え、動悸やめまい、吐き気などが起きる危険性もあります」(佐々木さん)

※女性セブン2022年3月24日号
https://josei7.com/

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